![【岐阜】薬物依存症者に「社会の理解」を 「岐阜ダルク」女性の薬物依存回復支える 専用寮「女性ハウス」開設5年半 ->画像>4枚](https://www.gif)
薬物依存症からの回復を目指すリハビリ施設「岐阜ダルク」(岐阜市真砂町)の女性寮「女性ハウス」が今春、開設から5年を迎えた。誘惑を断ち切り、子育てからも離れて回復に専念できる東海地区初の施設として出発し、これまで約50人が入寮した。23日に市内で開く記念フォーラムでは、入寮者らが社会復帰に向けた日々の姿を演劇で紹介する。
2年前に入寮したアヤカさん(26)が薬物を始めたのは15歳。きっかけは、SNS(会員制交流サイト)だった。「家が近くとか、先輩とか。男の人たちと玉(MDMA、合成麻薬)やマリフアナ、コカインを一緒にやった」。音楽と合わせて使うと「最高の状態になった」と振り返る。
もともと人見知りが激しかったが、薬物があれば別人のように人と話すことができるように。「クスリが、はまったんです」
だが、やがて薬物が切れると「おもりを背負ったよう」になり、動けなくなった。使い続けるうちに逮捕され、拘置所に差し入れられた本でダルクの存在を知った。
入寮してからも、何度も「クスリを使いたい」と思った。いさかいから、ダルクを飛び出したこともある。
だが、日課のミーティングを重ね、仲間と心情を吐露し合ううちに、いつしか薬物無しでも人と話すことができるようになった。岐阜ダルクが昨年末から取り組む演劇の脚本の原案も任された。「できることが、ちょっとずつ増えてきた。そろそろ働いてみたい」と考えている。
「女性ハウス」は市内の一戸建てを借りて開設。20〜30代の4人が共同生活を送っている。薬物はもちろん、アルコールや携帯電話も禁止。男女交際も認めていない。いずれも再使用の引き金になり得るからだ。
ダルクのスタッフで同ハウス責任者の勇陽子さん(40)は、開設時から入寮者と共に寝起きし、悩みに向き合ってきた。
「壮絶な幼少期を過ごした人が多い。居場所がなかったり、虐待を受けたり。心をまひさせないと、生きてこれなかったのだろう」
この5年で、寮を出て就職を果たしたり、結婚して赤ちゃんを見せてくれた人もいる。だが、こうした順調な例は、まだ10人に満たない。子育てのためにプログラムを中断して家に戻った人がいれば、再び薬物を使って刑務所に入った人もいる。それほど薬物依存症から抜け出すのは、難しいのだという。
勇さん自身も薬物依存の経験者。「私は『先行く人たち』が希望だった。同じように、依存経験のある人がサポートする側に回り、回復に向かう人が増えていってほしい」と期待している。
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岐阜新聞 2018年11月21日 07:42
![【岐阜】薬物依存症者に「社会の理解」を 「岐阜ダルク」女性の薬物依存回復支える 専用寮「女性ハウス」開設5年半 ->画像>4枚](https://www.gif)
薬物依存症者らの社会復帰を支援する民間リハビリ施設「岐阜ダルク」は23日、女性ハウス設立5周年フォーラムを岐阜市橋本町のじゅうろくプラザで開いた。講演や演劇を通じ、約200人が支援者の必要性を学んだ。
薬物依存症者や、その家族を支援する京都府立大学公共政策学部の山野尚美准教授が講演した。山野氏は「薬物依存は慢性疾患。回復のためには社会の理解などが必要だ。正しい知識を共有し、依存症で困っている人への対応などを考える必要がある」と述べた。
演劇では、依存症の女性がダルクに入所し、仲間との関わり合いで回復する様子を入所者らが演じた。会場は拍手に包まれ、涙を流す人もいた。
恵那市武並町の薬剤師、遠山光子さん(71)は「薬物依存症から回復するには仲間が必要だと感じた。薬物依存症の怖さを経験者らが訴えていたので良かった」と笑顔だった。【沼田亮】
毎日新聞 2018年11月24日
https://mainichi.jp/articles/20181124/ddl/k21/040/137000c?inb=ra