https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181102/k10011696411000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_029
2次被害急増 「原野商法」 消費者庁が注意呼びかけ
2018年11月2日 19時38分
40年ほど前に多発した、山林などを「将来値上がりする」とうたって売りつける、いわゆる「原野商法」を巡り、当時の被害者を狙った2次被害が急増しています。全国の消費生活センターに寄せられた相談の件数は、過去最高だった昨年度を上回るペースで増え続けていて、消費者庁が注意を呼びかけています。
原野商法は、山林や原野などの価値が低い土地を「将来値上がりする」などといって売りつけるもので、1970年代から80年代ごろにかけて、全国的に被害が多発しました。
消費者庁によりますと、使いみちのない土地を抱えた当時の被害者が、不動産業者を名乗る者から「不要な土地を買い取る」などと持ちかけられ、結果的に買うつもりのない別の土地を購入させられたり、節税対策の名目で金をだまし取られたりするといった2次被害が急増しています。
各地の消費生活センターに寄せられた相談の件数は、10年前は年間400件前後だったのが、ここ数年で急増し、昨年度は1694件と過去最高となったほか、今年度も1日までに933件と昨年度を上回るペースで増え続けています。
消費者庁は「一度お金を支払ってしまうと取り戻すことは難しい。高齢者の被害が多いので、すぐに支払うことは絶対せず、まずは家族と話し、困ったら消費者センターに相談してほしい」と呼びかけています。
「原野商法」の業者に行政処分
原野商法の2次被害が広がる中、消費者庁は、業者の1つに対し、別の土地を買わせるという目的を隠して不要な土地の売却についての訪問勧誘を行ったのは特定商取引法に違反するとして、こうした行為を行わないよう指示しました。
消費者庁によりますと、東京 台東区の不動産業者、「三井開発」は、ことし2月から4月にかけて、山林などを所有していた関東地方に住む3人に対し、土地を買い取ると持ちかけて自宅を訪問しました。
この際、土地の売却と同時に別の土地を買い取るよう勧誘していたということで、消費者庁は、目的を隠して訪問勧誘を行ったのは特定商取引法に違反するとして、こうした行為を行わないよう指示しました。
消費者庁によりますと、この会社を巡り、全国の消費生活センターにはことし9月末までの1年半に350件余りの相談が寄せられているということです。
NHKの取材では、午後5時半現在、この会社は連絡が取れない状態になっています。
2次被害に遭った男性は
首都圏に住む70代の男性は、40年前、原野商法によっておよそ150万円で山林を購入しましたが、売却先が見つかることはありませんでした。
そうしたところ、去年10月、不動産業者を名乗る男から電話があり、「山林を購入したいという人がいるから売ってほしい」ともちかけられました。
男性は使いみちのない山林を処分できるなら幸いと考え、その後、自宅を訪れた男と700万円で土地を売却する契約を交わしたうえで、事務手数料として18万円を支払いました。
その際に男は「売却代金が支払えるまで別の土地を担保として預ける」と説明したということです。
ところが、いつまでたっても代金が支払われないことから不審に思って契約書の内容を確認したところ、元の土地の売却代金で担保のはずの土地を買わされていたことが分かりました。
さらにNHKが取材したところ、この男性が買わされた土地は別の原野商法の被害者が40年前に購入し、去年、この業者に売却した形になっていました。
男性は「こういう目に遭って悔しい。土地を売った代金が得られると説明されて契約したので、実は土地の交換だというのは普通の人には見分けられないと思った」と話していました。
弁護士「同じ人がまた被害に」
(リンク先に続きあり)