https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45974415
【解説】カショジ記者殺害 サウジアラビアに対するトルコの思惑とは?
2時間前
マーク・ロウェン BBCトルコ特派員(イスタンブール)
グーグルの検索枠に「エルドアンが罵倒」と打ち込むと、検索結果は果てしなく続く。国連、欧州連合(EU)、イスラエル、フランスの知識人、オランダ、ドイツ、などなどと。最後の2国、オランダとドイツを、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は昨年、「ナチス」で「ファシスト」とのレッテルを貼った。
サウジアラビアに対するエルドアン氏の発言と、過去の罵倒を比較してみよう。サウジアラビアは、同国政府に批判的だったジャマル・カショジ記者を、イスタンブールのサウジ総領事館で殺害したと認めている。
「サルマン国王の誠意を疑う理由はない」。エルドアン氏はそう述べた。
エルドアン氏の報道官はサウジアラビアを「親しみやすい、兄弟のような国」と呼んだ。
にもかかわらず、サウジアラビアの実権を握るムハンマド・ビン・サルマン皇太子が殺人を知っていたか指示したとの疑惑がある中で、トルコ政府はサウジ政府の責任を問う、多くの場合はむごたらしい情報を、次々とリークし続けた。サウジ政府への締め付けのみを目的に。
では、エルドアン氏の狙いは何なのだろうか?
エルドアン大統領の発言のトーンは、明らかに抑制的なものだ。これは、トルコ対サウジアラビアの問題ではないのだと示すためなのだと私は耳にした。両国関係は、既に緊張状態にあるにせよ、この段階で一気に吹き飛ばすにはあまりに大事すぎるのだ。エルドアン大統領は、サルマン国王を直接標的にすることなく、国王に行動を促そうとしている。
大統領に近い情報筋は、「もしエルドアン氏がムハンマド皇太子を解任するようサルマン国王に言おうものなら、国王は絶対に皇太子を解任しないはずだ」と見解を述べた。
議会演説でエルドアン氏は、ムハンマド皇太子の名前すら口にしなかった。皇太子を自分と対等な存在として扱うことを避けるため、わざと触れなかったのだ。
トルコ政府の狙いは、サルマン国王とムハンマド皇太子の間にくさびを差し込むことだ。しかしそれを実現するための鍵は、サウジアラビア政府でなく米政府が握っている。
皇太子を強力に支持するドナルド・トランプ米大統領が、(「ムハンマド・ビン・サルマン」の頭文字から)MBS」として知られる皇太子の切り捨てに納得すれば、それはサルマン国王にとっての転機となるかもしれない。
(リンク先に続きあり)
(英語記事 Jamal Khashoggi murder: What is Turkey's game with Saudi Arabia?)