【モスクワ＝小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は１８〜１９日、中央アジアの旧ソ連構成国、ウズベキスタンを訪問し、同国のミルジヨエフ大統領と会談する。ウズベクでは２０１６年、独裁者として長年君臨したカリモフ前大統領が死去。後を継いだミルジヨエフ氏は「改革開放」路線をとり、中国や米国がウズベクへの関与を強めている。プーチン政権も、ウズベクとの関係を強化し、中央アジアでの影響力を保持しようと躍起だ。
両首脳は会談で、経済関係の強化やアフガニスタン情勢を協議する見通しだ。
露・ウズベク両国は、ウズベク初の原子力発電所を同国南部に共同建設することで合意しており、首脳らは着工式典にも出席する予定。原発の建設費は約１１０億ドル（約１兆２３００億円）と見積もられ、２８年の稼働を目指すとしている。
両国の間では今月、軍用機による両国空域の相互利用に関する協定も締結された。軍事物資の運搬などを容易にする内容だとされる。首脳会談では、両国の軍事協力についても突っ込んだ話し合いが持たれるとみられている。
ウズベクでは旧ソ連末期以降、カリモフ前大統領が四半世紀にわたって権力の座に居座り、閉鎖的な体制を維持。豊富な地下資源にもかかわらず、１人当たり国内総生産（ＧＤＰ）が約２千ドル（約２２万４千円）にとどまるなど、一般の生活水準は低かった。
１６年に就任したミルジヨエフ氏は「開国」路線にかじを切り、アフガン問題などを軸に、米国や中国、旧ソ連諸国との多極的な外交を展開している。昨年のＧＤＰは前年比５％超の伸びだった。
これを背景に、中国はウズベクを巨大経済圏構想「一帯一路」の重要部分として位置づけ、対ウズベク投資と貿易を活発化させてきた。欧州連合（ＥＵ）の統計によると、長年ウズベクの最大貿易相手国だったロシアは昨年、中国にその座を譲った。
米国と中国は、政府軍とイスラム原理主義勢力タリバンの戦闘が続くアフガンの情勢をにらみ、ウズベクへの軍事・科学技術供与も進めている。過激イスラムの拡散を阻止し、地域の安定を図る狙いからだ。
アフガン和平交渉も、主導しているのは米中やパキスタンで、ロシアの存在感は薄い実情がある。
産経新聞 2018.10.17 22:49
https://www.sankei.com/world/news/181017/wor1810170045-n1.html
