https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181015-00030154-kana-l14
横浜・みなとみらい21(MM21)地区で公開されている国指定重要文化財・帆船日本丸の横浜港での帆走実現が遠のいている。
実際に航行できる「生きた船」として保存されながら、海に出る際の水路をふさぐ歩道橋が新たに整備されるためだ。
風を切って港内を駆ける姿を夢見る関係者は「日本丸がますます海から遠くなる」と悲嘆している。
日本丸は1985年から、MM21地区の旧横浜船渠(せんきょ)第一号ドックで水に浮いた状態で保存公開されている。
市は年末にも、20年ぶりにドックを排水する「ドライドック」にした上で、老朽化が著しい船体や船底の修繕工事に着手。
2億9500万円の事業費のうち国が半額を負担し、市と、市民や企業などからの寄付金で残りを折半する。
日本丸は、港内などを航行できる「平水区域航行練習船」としての船舶資格を持ち続けている。
市港湾局賑(にぎ)わい振興課によると、資格があることで、市民ボランティアによる総帆(そうはん)展帆(てんぱん)や海洋教室など
船内での事業が継続できる。市港湾局の伊東慎介局長は「いつでも海に出せる『生きた船』の状態を維持することに価値がある」と強調する。
しかし、日本丸が実際に海に出るには高いハードルが立ちはだかる。市元理事で日本丸の横浜誘致に携わった
帆船日本丸記念財団理事の安田岩男さん(81)によると、誘致当初はドックが海に面しており、いつでも港内を帆走できる状態だったが、
MM21地区の開発が進んだこともあり、一度も実現していない。最大の関門は1994年に竣工(しゅんこう)し、MM21新港地区と
MM21中央地区に架かる国際橋(幅約12メートル)。日本丸が横浜港に出る際の水路をふさぐ形で架かっている。
さらに、横浜市会で今月4日、市の2018年度一般会計補正予算が可決、成立したことで、国際橋からさらに臨海部側に歩道橋
「みなとみらい歩行者デッキ(MMデッキ)」(仮称、幅約6メートル)の架橋が決定。市は19年秋にオープン予定の
「新港9号客船ターミナル施設」の歩行者デッキと合わせて整備する。
休日ともなれば国際橋が観光客らで激しく混み合っており、市は新たに歩道橋を架けることで回遊性の向上を図る。
事業費は4億円で国費と市債それぞれ1億7500万円、市の一般財源から5千万円を投じ、20年の東京五輪・パラリンピック開幕までに完成させる予定だ。
同局政策調整課は「MMデッキも国際橋と同じクレーンで取り外し可能な構造にしたい」としており、日本丸が横浜港で航行できる状況に
変わりはないとの考えだ。ただ、市民団体が日本丸を横浜港に出そうと04年に活動を始めた際、市は翌05年の市会で国際橋を取り外す
クレーン作業などに10億円以上の費用がかかると説明している。市、民間のいずれが担おうとも新たにMMデッキが架かればさらに費用がかさみ、
必要な作業も増大する。
安田さんは「日本丸の大規模改修はうれしいが、国際橋に続いて新たな歩道橋が完成すると、もう海に出せないのでは」と嘆いている。
横浜・みなとみらい21(MM21)地区で公開されている国指定重要文化財・帆船日本丸の横浜港での帆走実現が遠のいている。
実際に航行できる「生きた船」として保存されながら、海に出る際の水路をふさぐ歩道橋が新たに整備されるためだ。
風を切って港内を駆ける姿を夢見る関係者は「日本丸がますます海から遠くなる」と悲嘆している。
日本丸は1985年から、MM21地区の旧横浜船渠(せんきょ)第一号ドックで水に浮いた状態で保存公開されている。
市は年末にも、20年ぶりにドックを排水する「ドライドック」にした上で、老朽化が著しい船体や船底の修繕工事に着手。
2億9500万円の事業費のうち国が半額を負担し、市と、市民や企業などからの寄付金で残りを折半する。
日本丸は、港内などを航行できる「平水区域航行練習船」としての船舶資格を持ち続けている。
市港湾局賑(にぎ)わい振興課によると、資格があることで、市民ボランティアによる総帆(そうはん)展帆(てんぱん)や海洋教室など
船内での事業が継続できる。市港湾局の伊東慎介局長は「いつでも海に出せる『生きた船』の状態を維持することに価値がある」と強調する。
しかし、日本丸が実際に海に出るには高いハードルが立ちはだかる。市元理事で日本丸の横浜誘致に携わった
帆船日本丸記念財団理事の安田岩男さん(81)によると、誘致当初はドックが海に面しており、いつでも港内を帆走できる状態だったが、
MM21地区の開発が進んだこともあり、一度も実現していない。最大の関門は1994年に竣工(しゅんこう)し、MM21新港地区と
MM21中央地区に架かる国際橋(幅約12メートル)。日本丸が横浜港に出る際の水路をふさぐ形で架かっている。
さらに、横浜市会で今月4日、市の2018年度一般会計補正予算が可決、成立したことで、国際橋からさらに臨海部側に歩道橋
「みなとみらい歩行者デッキ(MMデッキ)」(仮称、幅約6メートル)の架橋が決定。市は19年秋にオープン予定の
「新港9号客船ターミナル施設」の歩行者デッキと合わせて整備する。
休日ともなれば国際橋が観光客らで激しく混み合っており、市は新たに歩道橋を架けることで回遊性の向上を図る。
事業費は4億円で国費と市債それぞれ1億7500万円、市の一般財源から5千万円を投じ、20年の東京五輪・パラリンピック開幕までに完成させる予定だ。
同局政策調整課は「MMデッキも国際橋と同じクレーンで取り外し可能な構造にしたい」としており、日本丸が横浜港で航行できる状況に
変わりはないとの考えだ。ただ、市民団体が日本丸を横浜港に出そうと04年に活動を始めた際、市は翌05年の市会で国際橋を取り外す
クレーン作業などに10億円以上の費用がかかると説明している。市、民間のいずれが担おうとも新たにMMデッキが架かればさらに費用がかさみ、
必要な作業も増大する。
安田さんは「日本丸の大規模改修はうれしいが、国際橋に続いて新たな歩道橋が完成すると、もう海に出せないのでは」と嘆いている。