北海道地震 停電で隠れた被害 人工呼吸器停止など170人超搬送
2018年10月5日 16時53分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181005/k10011659791000.html
先月、北海道で最大震度7を観測した地震の際に起きた大規模な停電の影響で、道内では人工呼吸器が使えなくなるなどして少なくとも171人が救急搬送され、このうち1人が死亡していたことがNHKの取材でわかりました。北海道は停電による二次的な被害は集計しておらず、隠れた被害の実態が浮き彫りになりました。
NHKは、地震で大規模な停電が起きた先月6日から8日にかけて停電の影響で救急搬送されたケースについて、北海道内の消防や主な医療機関に取材しました。
その結果、搬送された人は札幌市や釧路市、帯広市などを中心に少なくとも171人に上り、このうち男性1人が死亡していたことがわかりました。
死亡したのは札幌市北区の84歳の男性で、肺炎のため自宅で酸素を吸入する機器を使っていましたが停電で使えなくなり、携帯用のボンベに取り替えようとしていたところ、意識を失い搬送先の病院で死亡しました。
搬送の主な原因別は
▽人工呼吸器やたんの吸引器などが使えなくなった人が141人、
▽室内での発電機使用による一酸化炭素中毒が10人、
▽信号機がつかなくなった交差点での事故が10人、
▽暗い部屋などでの転倒が9人でした。
このほか、家族の車などで病院に来た人が少なくとも130人いました。
北海道は今回の地震の人的被害について、41人が死亡し691人がけがをしたと発表していますが、停電による二次的な被害は原則含めておらず、隠れた被害の実態が浮き彫りになりました。
重病の7歳男児 両親の必死の搬送で助かる
間一髪で命を取りとめた子どももいました。
札幌市豊平区に住む清水公介君(7)は重度の脳性まひで、自力で呼吸したり手足を動かしたりすることができません。
このため母親の寛子さんが24時間、つきっきりでたんの吸引などにあたっています。
先月6日の地震で公介君にけがはありませんでしたが、使っている医療機器の電源が停電で確保できなくなりました。
特に深刻だったのは、吸った空気を体温まで温め、湿度も調節する「加温加湿器」と呼ばれる機器です。
公介君にとって鼻の役割を果たす大事なもので、これがないとたんが固まってしまい、窒息するおそれがあります。
寛子さんは、この機器に自宅にあった充電式の蓄電池を取り付けましたが、わずか30分で切れてしまったといいます。
このため、加湿の効果を持続させる「人工鼻」と呼ばれる器具を公介君につけ、停電の復旧を待ちましたが、それから2時間がたっても状況は変わりませんでした。
電源を確保しないとまずいと考えた寛子さんは午前6時すぎにかかりつけの病院に電話をしましたが、何度かけてもつながらなかったといいます。
そこで夫が直接病院へ出向いて受け入れができることを確認し、自宅マンションの7階から階段で、公介君と重さが60キロ以上ある医療機器を運び出したということです。
結局、車で病院に到着したのは地震から6時間余りがたった午前9時半ごろで、すでにたんが固まってのどに貼りついていたということですが、医療機器をすぐに電源につなぎ、一命を取りとめました。
寛子さんは「停電がこんなに長引くとは思っておらず、病院に受け入れてもらった時はほっとしました。これからは自分たちで対処する方法を身につけ、ほかの病院への受け入れも含めたバックアップの態勢を作らなければならないと強く感じました」と話していました。
2018年10月5日 16時53分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181005/k10011659791000.html
先月、北海道で最大震度7を観測した地震の際に起きた大規模な停電の影響で、道内では人工呼吸器が使えなくなるなどして少なくとも171人が救急搬送され、このうち1人が死亡していたことがNHKの取材でわかりました。北海道は停電による二次的な被害は集計しておらず、隠れた被害の実態が浮き彫りになりました。
NHKは、地震で大規模な停電が起きた先月6日から8日にかけて停電の影響で救急搬送されたケースについて、北海道内の消防や主な医療機関に取材しました。
その結果、搬送された人は札幌市や釧路市、帯広市などを中心に少なくとも171人に上り、このうち男性1人が死亡していたことがわかりました。
死亡したのは札幌市北区の84歳の男性で、肺炎のため自宅で酸素を吸入する機器を使っていましたが停電で使えなくなり、携帯用のボンベに取り替えようとしていたところ、意識を失い搬送先の病院で死亡しました。
搬送の主な原因別は
▽人工呼吸器やたんの吸引器などが使えなくなった人が141人、
▽室内での発電機使用による一酸化炭素中毒が10人、
▽信号機がつかなくなった交差点での事故が10人、
▽暗い部屋などでの転倒が9人でした。
このほか、家族の車などで病院に来た人が少なくとも130人いました。
北海道は今回の地震の人的被害について、41人が死亡し691人がけがをしたと発表していますが、停電による二次的な被害は原則含めておらず、隠れた被害の実態が浮き彫りになりました。
重病の7歳男児 両親の必死の搬送で助かる
間一髪で命を取りとめた子どももいました。
札幌市豊平区に住む清水公介君(7)は重度の脳性まひで、自力で呼吸したり手足を動かしたりすることができません。
このため母親の寛子さんが24時間、つきっきりでたんの吸引などにあたっています。
先月6日の地震で公介君にけがはありませんでしたが、使っている医療機器の電源が停電で確保できなくなりました。
特に深刻だったのは、吸った空気を体温まで温め、湿度も調節する「加温加湿器」と呼ばれる機器です。
公介君にとって鼻の役割を果たす大事なもので、これがないとたんが固まってしまい、窒息するおそれがあります。
寛子さんは、この機器に自宅にあった充電式の蓄電池を取り付けましたが、わずか30分で切れてしまったといいます。
このため、加湿の効果を持続させる「人工鼻」と呼ばれる器具を公介君につけ、停電の復旧を待ちましたが、それから2時間がたっても状況は変わりませんでした。
電源を確保しないとまずいと考えた寛子さんは午前6時すぎにかかりつけの病院に電話をしましたが、何度かけてもつながらなかったといいます。
そこで夫が直接病院へ出向いて受け入れができることを確認し、自宅マンションの7階から階段で、公介君と重さが60キロ以上ある医療機器を運び出したということです。
結局、車で病院に到着したのは地震から6時間余りがたった午前9時半ごろで、すでにたんが固まってのどに貼りついていたということですが、医療機器をすぐに電源につなぎ、一命を取りとめました。
寛子さんは「停電がこんなに長引くとは思っておらず、病院に受け入れてもらった時はほっとしました。これからは自分たちで対処する方法を身につけ、ほかの病院への受け入れも含めたバックアップの態勢を作らなければならないと強く感じました」と話していました。