愛知県碧南市が8月末以降、東京都内の税理士に、同市へのふるさと納税を知人や顧客に勧めてくれれば、謝礼として寄付額の10%相当の現金を支払うと協力を依頼する文書計4千通を送っていたことが29日分かった。総務省は、ふるさと納税の制度の趣旨に合わず「不適切」として文書の撤回を要請。碧南市は今月下旬、追加発送を取りやめた。
総務省の担当者は「寄付は自発的にするもの」と指摘。「紹介者に謝礼を支払うという自治体は聞いたことがない」と話している。
一方、碧南市の担当者は「ふるさと納税の手続きができるインターネット上の仲介サイトにも、手数料として寄付額の10%程度を支払っており、同じ感覚で試行的に企画した」と説明。「違法性はない」として、既に送付した文書に絡んで紹介による寄付があれば、謝礼を支払うとしている。
これまで税理士側から問い合わせが約20件あったが、謝礼を支払った事例はないという。
碧南市や総務省によると、文書では「愛知県内のふるさと納税件数第1位」として、うなぎやしらすなど返礼品が100種類以上あり、寄付金を地元のベンチャー企業支援に活用している点をPRしている。
大都市圏に広める狙いで都内の税理士事務所に発送したところ、今月、文書を把握した総務省が愛知県を通じて碧南市に指摘した。同市は26日、追加で発送予定だった文書の廃棄を決めた。
慶応大の土居丈朗教授(財政学)は「社会貢献のため自発的に行うというのが寄付の重要な点だ。紹介者に謝礼を支払ってまで募るというのは行き過ぎではないか」と、同市の対応を批判した。
2018/9/29 18:17
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35927600Z20C18A9CN8000/