【パリ賀有勇】フランスのマニュエル・バルス元首相(56)が25日、隣国スペイン北東部カタルーニャ自治州で来年5月に行われるバルセロナ市長選への出馬を表明した。フランスでの政治的影響力が低下する中、活路を見いだす狙いがあるとみられる。首相経験のある仏国民議会(下院)議員の、国をまたいだ極めて異例の「くら替え」が注目されている。
バルス氏はバルセロナに生まれ、フランコ独裁政権を逃れた画家の父親に連れられフランスに移住し、1982年に20歳で仏国籍を取得。バルセロナで25日に開いた記者会見では「次のバルセロナ市長になりたい」とカタルーニャ語で出馬を表明した。欧州連合(EU)では、EU市民で一定の条件を満たせば域内のどこの国でも地方参政権が認められている。
学生時代の80年、死刑廃止運動への共感などから社会党(中道左派)に入党し、社会党のオランド前政権下で内相を務めた。2014年に首相に就任。社会党が導入した週35時間労働制の見直しを主張するなど党内では右派に位置づけた。
17年仏大統領選の左派の統一候補を決める予備選に出馬するも敗北し、大統領選では社会党候補ではなくマクロン候補支持を公言し物議を醸した。大統領選後に行われた下院選でマクロン氏の勢力への合流を試みるも拒まれ、無所属で出馬。急進左派候補との決選投票で139票の小差で当選。社会党関係者からは党を分裂させた「裏切り者」として扱われ、人気も落ちて、政治的な孤立を深めていた。
昨年10月行われたカタルーニャ自治州の独立を問う住民投票では、独立に反対の立場をスペインメディアで表明。「スペインでの政治活動を模索しているのではないか」と話題となっっていた。
選挙でバルス氏と争う可能性が高いコラウ・バルセロナ市長は、仏紙パリジャンに「フランスで失敗したからここへ来るのだ」と冷ややかだ。
9/27(木) 0:08
毎日新聞
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