三菱重工業は4日、英国で計画されている洋上風力発電プロジェクト向けに、世界最大出力の発電設備を受注したと発表した。
50%を出資するMHIヴェスタス(デンマーク)が、直径164メートルの羽根と出力9500キロワットのタービンを備えた設備を90基受注した。
MHIヴェスタスは洋上風力発電設備で世界シェア2位。
世界的な傾向となっている設備の大型化にいち早く対応し、首位に迫りたい考えだ。
MHIヴェスタスが受注したのは、独企業傘下で電源開発(Jパワー)と関西電力も出資する英トライトン・ノール洋上風力発電事業会社が、英国東岸のリンカンシャーから約32キロの沖合で建設予定の風力発電設備。
MHIヴェスタスは、5年間のサービス保守契約も結んだ。
受注額は明らかにしていないが、同社で過去最大規模の案件になるという。
2021年に運転開始予定で、80万世帯以上の電力をまかなえる計算。
仮組みした部材を近くの港から船で建設地に運ぶ必要があるため、40〜50人規模の地域雇用創出も見込まれているという。
MHIヴェスタスは、三菱重工とデンマークの風力発電設備メーカー、ヴェスタスが14年に折半出資で設立した。
これまで受注した設備はタービン1基の出力が最大で8千キロワットだった。
洋上風力発電は北欧中心に建設が拡大している。
ただし電力買い取り価格は下落傾向にあり、発電事業者は出力の大きい設備で設置数を減らし、建設コストを下げようとしている。
MHIヴェスタスは住友商事がベルギーで計画するプロジェクトなどでも9500キロワットの設備受注が内定しており、大型化への対応で先行している。
現状の世界シェアは約2割で2位だが、約6割のシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(スペイン)とは開きがあり、今回の受注で事業拡大に弾みをつけたい考えだ。
三菱重工の発電設備事業は、環境負荷への懸念を背景にした火力発電設備建設の減少という逆風にさらされている。
MHIヴェスタスの受注拡大はこれを補う意味でもプラスとなりそうだ。
曳航(えいこう)される風力発電装置
http://www.sankei.com/economy/news/180904/ecn1809040026-n1.html