堺市は今年度から、南区で買い物支援サービスを行っている事業者について情報提供を行う事業を始める。まちびらきから50年以上が経過し、高齢化が進んでいる同区の泉北ニュータウンは坂道が多く、移動手段を持たない“買い物難民”が生まれることが懸念されている。事業を通じてサービスの利用を進め、買い物が困難な高齢者らの負担を軽減する狙いだ。
市は秋ごろをめどに、スーパーなどの商業施設で実施されている来店宅配や送迎サービスの利用料金や条件、移動販売の日時や場所を紹介する一覧表や地図などを作成し、区内で配布。さらに10月ごろに、地域住民や事業者らとともに検討会を立ち上げ、今後必要な支援サービスについて協議する。
市によると、昭和42年にまちびらきした泉北ニュータウンでは造成時の入居者の高齢化が進んでおり、平成29年12月時点の同区の高齢化率は32・2%と市全体(27・5%)を大きく上回り、市内で最も高くなっている。
同区は起伏の多い地形で坂道が多い上、撤退する商業施設もあるといい、市が平成28年に65歳以上の区民4千人を対象に行ったアンケートでは、約65%が買い物に対して「困りごとがある」「将来的に不安を感じる」と回答。困りごとの種類としては、「重い物やかさばる商品を持つのが大変」「雨の日は荷物が持ちきれなくて大変」「徒歩圏内の店舗は品ぞろえが少ない」などの項目を挙げる人が多かった。
こうした事態を踏まえ、地域住民や有識者らによる「南区区民評議会」が今年2月、買い物支援事業の必要性を市に提言していた。
市は今年度当初予算に732万円の事業費を計上。南区企画総務課の担当者は「今後、買い物に困る方はこれからもっと増えていくとみられ、大きな課題としてしっかり取り組んでいきたい」と話した。
https://www.sankei.com/west/news/180828/wst1808280023-n2.html