※総踊りスレ
下鴨神社の糺(ただす)の森を進む斎王代=2018年5月15日午前11時59分、京都市左京区
しめ縄を太刀で切る長刀鉾の稚児=2018年7月17日午前9時23分、京都市下京区
祭礼アルバイト募集の掲示
ちまき売りのアルバイト募集
1カ月続いた祇園祭が7月31日に終わり、京都の三大祭りも10月の時代祭を残すだけとなった。
三大祭りの中でも1000年を超える歴史を誇る葵祭と祇園祭。そこで大役を務めるのが葵祭の斎王代、祇園祭のお稚児さんだ。
葵祭の“ヒロイン”斎王代は、平安朝の装束をまとった500人が連なる行列に十二単姿で輿に乗る未婚女性。お稚児さんは祇園祭のハイライト、山鉾巡業で出発の合図となる“しめ縄切り”をする10歳前後の少年だ。
ともに一般公募ではなく、斎王代は葵祭行列保存会が、お稚児さんは長刀鉾保存会が選ぶ。
いちげんさんお断り的な斎王代とお稚児さん、検索すると関連ワードで上がってくるのが「費用」に「お金持ち」。さらには「家柄」や「お坊ちゃん」なんていうものまで。
どちらも決定するとニュースでは「京都市△△区在住、○○社長の長女」や「○○専務の次男」と、個人情報保護がやかましい風潮を逆流するように伝えられる。◯○にはよく知られた名前が入るため、やんごとなき家の子女が選ばれるものという了解が自然と出来上がる。
京都の歴史や観光にも詳しい同志社女子大学現代社会学部の天野太郎教授は、お稚児さん選びには祇園祭の成り立ちが深く関係していると話す。
「祇園祭はもともと祇園御霊会と呼ばれ、疫病や非業の死を遂げた人の怨霊を鎮める祭である御霊会でした。869年に京都で疫病が流行すると“たたり”として、これを鎮めるために神輿を担ぎ、鉾を立てて神泉苑(平安京にあった庭園)に向いました。これが山鉾巡行の始まりとされます。祇園祭は町内に病人が出ないよう、町ごとに自分たちの鉾を立てて練り歩く町人の祭なんですね。だから、お稚児さんも行政ではなく町人・町衆が話し合って決める。町人が支えてきた歴史があり、お稚児さんはそこの代表。町に関係していない人は選ばれにくい」
お稚児さんは神様のお使いとされ、期間中は様々な制限が加わる。例えば日常生活では女性と関わってはならず、食事などの身の回りの世話は父親の仕事になる。公の場で地面に足をつけるのも御法度で、強力と呼ばれる男性に担がれて移動する。行事も多く、学校は公欠になるそう。日々の儀式の合間に舞などの練習もあり、まわりのサポートと理解は不可欠だが、それができる家はそう多くないはず。お稚児さんを父と息子の2代、兄と弟で務めるケースが珍しくないのもここに理由がありそうだ。
費用負担はというと、まことしやかに流れる噂だと1000万〜2000万。ただ、選ぶ上で優先されるのは財力ではなく町との関わりの深さだ。
前出の天野教授は、「お金のこともあるけれど、京都に代々根差した人でないとやりにくいし、山鉾の運営に関わる町の人が納得しない」と話す。
お稚児さんを出した家と付き合いがある地元の人からはこんな話も聞かれた。
「結果的に費用を負担できる余裕があり、しかもお稚児さんを出したことがプラスとなるような家が選ばれる。お商売をしていれば名前が出ることで『やっぱり○○は違うよね。さすが老舗やな』と直接間接的に宣伝にもなる」
町の発展に貢献してきたところから選んだ結果、大きな出費もまかなえる家だったということで、さらに言えば、選ぶ方も受ける方もメリットがあるからこそ、ここまで続いてきたのだろう。
選ばれし主役になれなくても、参加できるのが京都の祭だ。
三大祭りに欠かせないのが大量の学生アルバイト。すでに1950年代には定着しており、よく知られているのは衣装を着て練り歩く“祭礼行列員”。簡単にいえば仮装エキストラで、他に売り子や軽作業などもある。
私も学生時代を京都で過ごしたが、大学が募集をかけるため1回生の時はクラスの男子が集団で参加していた。残念ながら20年前当時の参加型は男子限定。女子の私は沿道の店の臨時手伝いに雇われ、道をたずねに来る観光客をさばくという冴えない役しか当たらなかった。
(続きはソース)
2018.8.14 11:30
http://dot.asahi.com/dot/2018081400015.html
下鴨神社の糺(ただす)の森を進む斎王代=2018年5月15日午前11時59分、京都市左京区
しめ縄を太刀で切る長刀鉾の稚児=2018年7月17日午前9時23分、京都市下京区
祭礼アルバイト募集の掲示
ちまき売りのアルバイト募集
1カ月続いた祇園祭が7月31日に終わり、京都の三大祭りも10月の時代祭を残すだけとなった。
三大祭りの中でも1000年を超える歴史を誇る葵祭と祇園祭。そこで大役を務めるのが葵祭の斎王代、祇園祭のお稚児さんだ。
葵祭の“ヒロイン”斎王代は、平安朝の装束をまとった500人が連なる行列に十二単姿で輿に乗る未婚女性。お稚児さんは祇園祭のハイライト、山鉾巡業で出発の合図となる“しめ縄切り”をする10歳前後の少年だ。
ともに一般公募ではなく、斎王代は葵祭行列保存会が、お稚児さんは長刀鉾保存会が選ぶ。
いちげんさんお断り的な斎王代とお稚児さん、検索すると関連ワードで上がってくるのが「費用」に「お金持ち」。さらには「家柄」や「お坊ちゃん」なんていうものまで。
どちらも決定するとニュースでは「京都市△△区在住、○○社長の長女」や「○○専務の次男」と、個人情報保護がやかましい風潮を逆流するように伝えられる。◯○にはよく知られた名前が入るため、やんごとなき家の子女が選ばれるものという了解が自然と出来上がる。
京都の歴史や観光にも詳しい同志社女子大学現代社会学部の天野太郎教授は、お稚児さん選びには祇園祭の成り立ちが深く関係していると話す。
「祇園祭はもともと祇園御霊会と呼ばれ、疫病や非業の死を遂げた人の怨霊を鎮める祭である御霊会でした。869年に京都で疫病が流行すると“たたり”として、これを鎮めるために神輿を担ぎ、鉾を立てて神泉苑(平安京にあった庭園)に向いました。これが山鉾巡行の始まりとされます。祇園祭は町内に病人が出ないよう、町ごとに自分たちの鉾を立てて練り歩く町人の祭なんですね。だから、お稚児さんも行政ではなく町人・町衆が話し合って決める。町人が支えてきた歴史があり、お稚児さんはそこの代表。町に関係していない人は選ばれにくい」
お稚児さんは神様のお使いとされ、期間中は様々な制限が加わる。例えば日常生活では女性と関わってはならず、食事などの身の回りの世話は父親の仕事になる。公の場で地面に足をつけるのも御法度で、強力と呼ばれる男性に担がれて移動する。行事も多く、学校は公欠になるそう。日々の儀式の合間に舞などの練習もあり、まわりのサポートと理解は不可欠だが、それができる家はそう多くないはず。お稚児さんを父と息子の2代、兄と弟で務めるケースが珍しくないのもここに理由がありそうだ。
費用負担はというと、まことしやかに流れる噂だと1000万〜2000万。ただ、選ぶ上で優先されるのは財力ではなく町との関わりの深さだ。
前出の天野教授は、「お金のこともあるけれど、京都に代々根差した人でないとやりにくいし、山鉾の運営に関わる町の人が納得しない」と話す。
お稚児さんを出した家と付き合いがある地元の人からはこんな話も聞かれた。
「結果的に費用を負担できる余裕があり、しかもお稚児さんを出したことがプラスとなるような家が選ばれる。お商売をしていれば名前が出ることで『やっぱり○○は違うよね。さすが老舗やな』と直接間接的に宣伝にもなる」
町の発展に貢献してきたところから選んだ結果、大きな出費もまかなえる家だったということで、さらに言えば、選ぶ方も受ける方もメリットがあるからこそ、ここまで続いてきたのだろう。
選ばれし主役になれなくても、参加できるのが京都の祭だ。
三大祭りに欠かせないのが大量の学生アルバイト。すでに1950年代には定着しており、よく知られているのは衣装を着て練り歩く“祭礼行列員”。簡単にいえば仮装エキストラで、他に売り子や軽作業などもある。
私も学生時代を京都で過ごしたが、大学が募集をかけるため1回生の時はクラスの男子が集団で参加していた。残念ながら20年前当時の参加型は男子限定。女子の私は沿道の店の臨時手伝いに雇われ、道をたずねに来る観光客をさばくという冴えない役しか当たらなかった。
(続きはソース)
2018.8.14 11:30
http://dot.asahi.com/dot/2018081400015.html