
墜落した群馬県の防災ヘリコプター「はるな」の機体に装着されていた全地球測位システム(GPS)の通信が途絶えてから、救助活動が始まるまで約3時間かかっていたことが、同県への取材で判明した。小見洋・県消防保安課長は「もっと早く救出活動をできた可能性がある。反省すべきところがある」と話している。
GPSはヘリの位置や高度を示し、県防災航空隊が受信したそれらの情報をパソコンで監視している。9人が死亡した昨年3月の長野県消防防災ヘリコプター「アルプス」の墜落事故を受け総務省消防庁が導入し、群馬県にも貸与されていた。20秒ごとに情報を更新するよう設定されていたが、県は監視体制などのマニュアルを整備していなかった。
県によると、「はるな」は10日午前9時59分に急旋回して予定コースを外れ、2分後の同10時1分に通信が途絶えた。GPSが最後に示した地点は、墜落現場に近かった。
しかし、隊員がパソコンの画面を確認したのは同10時40分ごろ。無線で連絡したがつながらず、ヘリポートにも戻っていなかったため、同11時48分に県警に捜索を依頼。県警のヘリが離陸したのは約1時間後の午後0時50分だった。県によると、機材の積み込みに時間がかかったという。
県は同1時43分に自衛隊に災害派遣要請し、自衛隊ヘリが同2時43分に「はるな」の機体の一部を発見した。【杉直樹】
◇10日の「はるな」を巡る動き
<午前>
9時30分ごろ 9人を乗せ西吾妻福祉病院を離陸
9時59分 急旋回
10時 1分 GPSの通信が途絶える
10時40分 群馬県防災航空隊が通信断絶を確認
11時48分 県が県警に捜索を依頼
<午後>
0時50分 県警ヘリが捜索のため離陸
1時43分 県が自衛隊に災害派遣要請
2時43分 自衛隊ヘリが「はるな」の残骸を発見
8/11(土) 23:29
毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180811-00000049-mai-soci