https://www.bbc.com/japanese/44856301
小児がんの男の子、自分の追悼文を作る 米アイオワ州
2018/07/17
米中西部アイオワ州で今月、小児がんでなくなった5歳の男の子が生前に作った追悼文が話題になっている。作成を助けた母親は、息子の言葉が「これほど多くの人の心を動かした」ことに「恐れ多い気持ち」だと語った。
遺族がアイオワ州の葬儀所のウェブサイトに掲載したギャレット・マシアス君の追悼文には、悲しいお葬式にしないでほしいと書かれており、末尾は「それじゃまたな、あばよ!」との言葉で締めくくられている。
ギャレット君の希望を尊重し、先週14日に行われた告別式は「彼の人生を祝う」集まりにした。
患者数の少ない希少がんを患っていたギャレット君は、母親のエミリーさんや父親のライアンさんが「9カ月にわたる地獄」と語る闘病生活の後、今月6日に亡くなった。
ギャレット君が回復する見込みがないと知らされた6月中旬、両親は彼のために何をするべきか考え始めた。
「私が納得がいかないのは、普通の追悼文は、読んでも故人がどんな人だったのかあまり分からないことです」とエミリーさんはBBCに対して語った。
「皆がギャレットの人となりが感じられるようにしたかった。彼自身の言葉で書けばいいと気が付いた」
「偉大なギャレットの下着パンツ」が好きなものと嫌いなもの
追悼文は、ギャレット君が亡くなる数週間前から両親と交わした会話がベースになっている。
そこから生まれた「ギャレットの偉大な下着パンツ」では、彼の好きなものが挙げられている。
「おねえちゃんと遊ぶこと。僕の青いウサギ、スラッシュ・メタル(ヘビーメタルの要素を含む音楽ジャンル)、レゴ、保育所の友達、バットマン、ポート(薬剤を投与するためのカテーテル)をいじる前に眠らせてくれるとき」
嫌いなもののリストもある。
「パンツ! すごくいやながん、ポートをいじられるとき、注射、さくらんぼのおならみたいなにおいがするサルの鼻」
「メイヨー・レディエーションにあるみたいなミントのサルの鼻は好き。レゴを組み立てるのを手伝ってくれた人(ランディさん)も好き」(メイヨー・レディエーションは米メイヨー・クリニックの放射線腫瘍科)
死ぬことについて聞かれたギャレット君の答えはこうだ。「ゴリラになってウンチをパパに投げつける!」
両親はギャレット君に、遺体をどうしてほしいかや告別式についても希望を聞いた。
ギャレット君は追悼文の中で、米マーベル・コミックスの登場キャラクター、マイティ・ソーを念頭に、「焼いてください。(ソーのママが死んだときみたいに)そして木にして。そしたらゴリラになったときにそこに住むから」と要望。告別式の準備については、「お葬式は悲しい。バウンシーハウスを5つ(僕が5歳だから)、それにバットマンとかき氷」と述べている。
ギャレットの追悼文は米国内や各国の通信社が報じたほか、ソーシャルメディアでも拡散された。
エミリーさんは、「これほど幅広い反応があるとは全く想像していなかった」と語った。「世界中から手紙が来ました。ギャレットの言葉で書かれた文章が、これほどまで多くの人の心を動かしたことに、恐れ多い気持ちです」。
(リンク先に続きあり)
取材:UGC・ソーシャルニュースチーム
(英語記事 Celebrating the life of the boy who wrote his own obituary)
母親のエミリーさんは「ギャレットの人となりが感じられる」追悼文にしたかったと話した
ギャレットの遺志通り、彼の人生を祝う式にはバウンシー・ハウスが5個用意された
マイティ・ソーやスパイダーマン、バットマン、ワンダーウーマンが式にやってきた。写真がギャレットの姉を抱きしめるワンダーウーマン