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「西日本豪雨被害」被災した真備東中学校のグラウンドには大量の災害ごみが集められていた=17日午前10時0分、岡山県倉敷市真備町(鳥越瑞絵撮影)
西日本豪雨の被災地で、災害ごみの処理計画を作っていないため、仮置き場の選定などごみ処理を巡り初動が遅れたケースがあることが、分かった。処理計画策定済みの市区町村は昨年3月時点で全体の24%にとどまっていることも環境省の調査で判明。ごみの量は数十万〜100万トン近くになるとの見方もあり、近年の豪雨災害では最大規模になる見通しだ。
計画は災害ごみの処理方針を定めた「災害廃棄物処理計画」。仮置き場の候補地を決め、ごみの収集運搬方法などを盛り込む。仮置き場の確保などに手間取り処理が滞れば生活再建の遅れにつながるため、同省が全国の自治体に早期の策定を要請していた。
土砂崩れや川の氾濫で多くの死者が出た愛媛県の宇和島、西予、大洲の3市は処理計画を作っておらず、仮置き場の選定や他部署との連携に時間がかかるなどした。大洲市の担当者は「事前に策定していれば、被災直後や被災後1週間の段階ごとに、どのように動けばいいか想定できた」と振り返る。
広島県の呉市や熊野町も未策定で、呉市の担当者は「計画があればもっとスムーズに対応できた」と話した。
環境省によると、処理計画策定済みが24%にとどまるのは、災害対応の経験がある職員が少ないといった理由だという。処理計画を地域防災計画の中に含めている自治体も一部あるが、ほとんどが詳細に記述されていないといい、単独で処理計画を策定しているかどうかを全1741市区町村を対象に調査。その結果、策定済みは412自治体だった。
政府は今年6月、平成37年度の策定率を60%に引き上げる目標を盛り込んだ基本計画を閣議決定したばかりで、前倒しの実施も求められそうだ。
今回の災害ごみの量について、岡山県倉敷市は7万〜10万トンと推計、大洲市の担当者は「5万トンに達する可能性がある」と話す。ほか多くの自治体が推計作業中だ。被害が広範囲に及んでいることから、26年に広島市で発生した土砂災害の58万トンを上回る可能性が高いとみられる。