ベストセラー「下天は夢か」で知られ、歴史、剣豪小説などの分野で活躍した直木賞作家、津本陽(つもと・よう=本名・寅吉=とらよし)さんが26日午後10時10分、誤嚥性肺炎のため東京都内の病院で死去した。
89歳。通夜、葬儀・告別式は親族のみで行う。喪主は妻、初子(はつこ)さん。後日、お別れの会を開く予定。
和歌山県生まれ。東北大法学部卒。会社勤めをしながら小説家を志し昭和53年に、故郷である和歌山の捕鯨漁民を描いた「深重(じんじゆう)の海」で直木賞を受賞。犯罪、企業小説から、歴史、剣豪小説、伝記まで、幅広い分野で健筆をふるった。平成元年、織田信長の生涯を描いた「下天は夢か」はベストセラーに。豊臣秀吉の「夢のまた夢」(吉川英治文学賞)、徳川家康の「乾坤の夢」と合わせて「夢」3部作と呼ばれ、代表作となった。
平成3年に本紙の連載小説「天の伽藍(がらん)」で資料の無断引用が発覚。18年には「八月の砲声 ノモンハンと辻政信」(講談社)をめぐり著作権に抵触したことが明らかになった。
松下幸之助の生涯をつづった企業小説「不況もまた良し」や、田中角栄を描いた「異形の将軍」など著書多数。平成9年に紫綬褒章、15年には旭日小綬章を受章。17年には菊池寛賞を受賞した。剣道三段、抜刀術五段の腕前でも知られた。
作家の津本陽さん
http://www.sankei.com/life/news/180528/lif1805280022-n1.html
2018.5.28 18:16