
2018年5月22日
多くの生物が持つ体内時計の仕組みでは、2種類のたんぱく質がそれぞれ時間を速めたり遅くしたりして約24時間の活動周期を決めていることがわかったと、京都大などのチームが発表した。
2種類のたんぱく質は一つの遺伝子から作られ、構造はほぼ一緒だが、正反対の役割を持つため、チームは「まるでジキルとハイド。時差ぼけをなくしたり、好きな時間に眠れたりする薬などの開発につながるかもしれない」としている。
論文が22日、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。
体内時計をつかさどる時計遺伝子の研究を巡っては、米国の研究者3人が昨年のノーベル生理学・医学賞を受賞している。
チームの岡村均・特任教授らは、マウスの細胞を使って、時計遺伝子の働きに関係する「Ck1d」という遺伝子について詳しく調べた。その結果、Ck1dは、ほぼ同じ構造を持つ2種類のたんぱく質を生み出していることを発見。
2種類のたんぱく質がバランスよく働くと、1回の活動周期はほぼ24時間になったが、どちらかの働きだけが強いと活動周期は長くなったり、短くなったりしたという。
上田泰己・東京大教授(システム生物学)の話
「Ck1dは、以前から体内時計には重要な遺伝子として知られていたが、正反対に働くたんぱく質を作って周期を巧妙に制御しているとは興味深い。睡眠障害の人では、この仕組みがどう変化しているのかを解明する必要がある」