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5月11日 4時58分
大分県中津市で6人が死亡した大規模な土砂崩れから11日で1か月です。現場では大量の土砂や大きな岩が急斜面に残ったままで、梅雨を前にして大分県が土砂の流出を防ぐ対策工事を急いでいます。
先月11日、大分県中津市耶馬溪町で起きた大規模な土砂崩れでは、住宅4棟が巻き込まれ、6人が犠牲になりました。
現場には犠牲者を悼む人たちが相次いで訪れていて、10日も山口県から訪れたという夫婦が花を手向けていました。70歳の妻は「現場を目の前にすると自然の恐ろしさを感じます。山あいでは、いつどこでこういう災害が起きるかわからず、怖いと思いました」と話していました。
現場には1か月たった今も大量の土砂に加え、大きな岩や倒れかかった木が急斜面に残ったままで、2次災害の危険が指摘されています。このため大分県は、斜面の下に大型の土のう、およそ1000個を積んで土砂の流出に備えていて、今後さらに高さ5メートルの防護柵を設置するほか、斜面の内部にもパイプ10本を通して、土砂崩れを引き起こすおそれのある地下水を抜く工事に取りかかる予定です。
梅雨を前に、大分県は対策工事を来月上旬までに終えたいとしていて、作業を急いでいます。
「梅雨になったら」不安訴える地元
土砂崩れの起きた大分県中津市の耶馬溪町では、梅雨が近いこともあって、新たな土砂崩れに不安を訴える人たちもいます。
耶馬溪町で消防団の団長を務める平原周治さん(65)は、1か月前の土砂崩れの朝、午前4時すぎに出動を要請する電話を受け、すぐに現場に駆けつけました。そして、次第に夜が明け、辺りが明るくなると被害の全体状況が見え、土砂崩れの規模の大きさにがく然としたと言います。
地元の消防団は、行方不明者を捜すためスコップを使って土砂を掘り起こす作業にあたり、平原さんは作業の指揮を執りました。
平原さんたち地元の消防団は、月に1度、パトロールを続けてきたほか、梅雨の時期などには早めに避難するよう住民に呼びかけてきましたが、1か月前の土砂崩れは雨や地震といった前兆がなく、事前の対応はできませんでした。
平原さんは今後、梅雨に入れば土砂崩れの危険がさらに増すとして不安を抱いています。平原さんは「雨も降っていなかったのに、どうして起きたのか、今も考えています。今後、土砂崩れにどう備えていけばよいのか、わかりません」と話していました。