5月11日 4時52分
来月12日、シンガポールで開催されることになった米朝首脳会談。トランプ大統領はどのように臨むのでしょうか?
米朝首脳会談でトランプ大統領は、北朝鮮の非核化への道筋をつけて国際社会だけでなく国内に向けてもみずからの指導力による歴史的な成功だと印象づけたい考えです。
ただ、北朝鮮はこれまで何度も非核化の意思を示しながら、その約束をほごにしてきた歴史があります。さらに米朝の間では非核化の定義や進め方について立場の違いが大きいと見られています。
このためトランプ大統領としては会談で、まずはキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長に核を完全に放棄する意思があるのか、直接確認して本気度を見極めると見られます。
そのうえで北朝鮮に対して完全かつ検証可能な非核化を迫る方針で、核を放棄する時期や査察の受け入れなどの具体的な措置を北朝鮮から引き出したい考えです。
トランプ大統領としては11月に行われる議会の中間選挙や、みずからの再選を目指す2年後の大統領選挙も見据え、速やかに目に見える成果を得たい考えです。
一方で、合意を焦って妥協したと見られないよう、制裁の緩和などの見返りの前に具体的な行動を求める構えです。
またトランプ大統領は朝鮮戦争の終結や、弾道ミサイルの放棄、さらには拉致問題の解決も訴えるとしていて、交渉にたけていると自負するトランプ大統領の真価が史上初となる会談の場で問われることになります。
緊迫から対話へ 米朝関係 大きく変化
アメリカと北朝鮮の関係は、去年1月のトランプ政権発足後、大きく変化してきました。
トランプ政権は、北朝鮮の核・ミサイル開発の問題を安全保障上の最大の課題と位置づけました。そして、「すべての選択肢はテーブルの上にある」として、軍事的な選択肢も排除しない姿勢を示し、北朝鮮への圧力を最大限まで高め核・ミサイル開発の放棄を迫る取り組みを続けてきました。
トランプ大統領は去年9月、国連総会の演説で、「北朝鮮の完全な壊滅」にまで言及して、強い警告を発しましたが、北朝鮮は弾道ミサイルの発射をやめず、情勢は緊迫しました。さらに、トランプ大統領は、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長を「小さなロケットマン」などと繰り返し、やゆし、北朝鮮側が強く反発するなど、米朝の間で非難の応酬が続きました。
しかし、ことしに入り、北朝鮮が対話の姿勢を示し始め、韓国で開かれたピョンチャンオリンピックに参加するなど、情勢は次第に変化します。
そして、ことし3月、トランプ大統領は北朝鮮のキム委員長と面会した韓国政府の高官とホワイトハウスで会談し、キム委員長が米朝首脳会談を提案しているとの説明を受けると、即座に応じる意向を示し、世界を驚かせました。
その後、先月1日には、当時、CIA=中央情報局の長官だったポンペイオ国務長官が北朝鮮を極秘訪問し、キム委員長と会談しました。
さらに、ポンペイオ国務長官は9日、再び北朝鮮を訪れてキム委員長と会談し、拘束されていたアメリカ人3人が解放されました。
帰国した3人を空港で出迎えたトランプ大統領は「キム委員長に感謝したい」と述べました。そして、「朝鮮半島を非核化すれば、私の最も誇れる功績となるだろう」と述べ、核の放棄の実現に強い意欲を示しています。
