
強風のために兵庫県南あわじ市灘白崎の海岸にクレーン台船が座礁して2年が経過した。所有していたタイの会社は撤去に応じず、船は放置されたまま。県洲本土木事務所は交渉を続ける一方、会社側が応じなければ年度内にも行政代執行で撤去することを検討し、2018年度予算に費用を盛り込んでいることが分かった。(高田康夫)
クレーン台船はタイ船籍。2016年5月3日午後、南あわじ市の沼島から約3・5キロ東の沖をえい航中にワイヤが切れて流され座礁した。
同事務所によると、船はタイの会社が所有。会社側は当初、燃料を抜いてアンカーで固定するなどの処置をしたが、その後、保険会社から保険適用外とされたため処理がストップしている。同事務所は会社に勧告を出した上で、弁護士をタイに派遣して交渉を進めているが、会社側は書面には返答せず、口頭でも「(所有権を)放棄した」などとしているという。
船は底に穴が開いている状態。海岸沿いの県道に隣接しているため、同事務所は船が動いていないか、毎日確認している。昨秋の台風時も安定していたというが、船体はさびてきており、クレーンのワイヤが切れて交通に影響が出ることも想定される。南海トラフ地震の津波が来れば、さらなる被害も及ぼしかねない。
撤去には億単位の費用がかかるとみられるが、「いつまでも放置はできない」と同事務所。会社と交渉を続ける一方、すでに国に補助申請し、撤去費用を本年度に予算化した。同事務所港湾第2課は「会社側が撤去に応じなければ、最終手段として行政代執行もやむなし」としている。県が代執行した場合でも、撤去費用などは会社側に求めていくことになる。
2018/5/7 13:30
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