『【正論】「一国再エネ主義」は不可能だ 経団連21世紀政策研究所 研究主幹 澤昭裕
http://www.sankei.com/column/news/150323/clm1503230001-n1.html 将来の電源構成(エネルギーミックス)の議論において、再生可能エネルギーの導入量は、水力を含めて20%程度にとどめておくべきである。
技術的、経済的に看過し難い問題があるからだ。
≪厄介な余剰電力、不安定性≫
その理由の第1は、「一国再エネ主義」は不可能だからだ。
特に、風力や太陽光といったお天気まかせの発電設備で生まれる電気は、往々にして需要を上回る余剰電力を発生させる。
余剰電力は系統運用を乱す厄介者だ。
ドイツでは、自国内の送電線建設計画が住民の反対などで進捗(しんちょく)していないため、
北欧や東欧各国に余剰電力を「捨てて」いる。これができるのもドイツが隣国と送電線で連系されているからである。
すでにドイツの国内発電量の4分の1を超える部分が再エネによるものとなっており、
これ以上の拡大は難しいということで、ノルウェーとの送電線敷設計画に期待をかけている。
しかし、欧州全体の系統運用を司(つかさど)る機関やドイツの隣国の間では、流入する余剰電力に頭を痛めており、
ドイツ自国内での処理を促している。(後略)』
電気とは、発電と同時に消費が行われなければなりません。
発電してしまった電気を使用せず、処分するのは、一般の人が考えているほど簡単ではないのです。
ドイツでは、再エネ事業者が需要以上に発電してしまったとき、国内の大企業(製造業など)に電力会社側がお金を
「支払って」電気を使ってもらっています。もう一度書きますが、余剰電気を処分するため、電力会社が大企業にお金を支払っているのです。
あるいは、欧州がグリッド(電力戦)で繋がっていることをいいことに、隣国(ポーランドなど)に余剰電気を流し込んでいたりします。
電力サービスは「需要」と「供給」を常に一致させなければ成り立たないため、隣国としては物凄い迷惑です。
後略部で澤氏が書いている通り、ドイツが再エネに依存すればするほど、バックアップの代替電源(主に火力)を用意しなければならず、
不要に燃料が消費されます。稼働率が見合わないということで、火力発電の会社が撤退をしようとしたため、メルケル政権は「火力発電の撤退」
を禁止する法律を制定したりしています。まさに、泥縄です。
FITとは、東日本大震災と福島第一原発事故という「ショック」を利用し、
レント・シーカーたちが菅政権を動かし、成立させてしまった典型的なショック・ドクトリンです。
しかも、再生可能エネルギー特別措置法には「外資規制」もありません。
原発を停止し、燃料代負担増大で電気代が高騰すると同時に、我々はメガソーラーに代表される
FITに投資する余力を持つ投資家(外国人投資家含む)に、不要な電気の代金を「再エネ賦課金」として支払わされています。
電力中央研究所の試算によると、現行のままFITを進めていくと、最終的な国民負担の総計は80兆円にも達するとのことでございます。
FITを即刻廃止するのはもちろん、すでに「レント」を手に入れた投資家、企業家から所得を回収しなければなりません。
回収方法として、わたくしは「発電税」を主張していますが、澤氏は「再エネ事業者の棚ぼた利益への利益に逆賦課金」を提言しています。
いずれにせよ、「FITの廃止と、事業者の過剰利益の回収」について、政治家は早急に取り組んで欲しいと思います。(議員立法でも構いません)