群馬県内の焼き肉店での火事が後を絶たない。富岡市の焼き肉店で今月10日、排気ダクトなどが燃える火事があった。昨年は渋川市で死傷者の出る火災が発生した。大人数で網を囲むのが楽しみの一つの焼き肉。火事の防止には店と客、双方の注意が必要なようだ。
◎燃え広がったら応急処置で氷を入れる
「消防車はいっぱい、やじ馬もたくさん。けが人がないと聞きほっとした」。10日の昼下がり。富岡市内の焼き肉店で煙が上がっているのを見た60代の男性は、こう振り返った。
店の関係者によると、店の排気ダクトは網の近くから煙を吸い込む「下引き」で、それぞれの席の下などに張り巡らせていた。「客が豚のバラ肉をいっぺんに焼いたら、排気ダクトに火が回り断熱材などが焼けた。安全装置は作動したが間に合わなかった」という。
店は営業を始めて20数年が経過。安全を考慮し、5月にも炭火からガスに切り替える予定だったという。現在休業中で、6月ごろの営業再開を目指し、排気ダクトなどを改修している。
県内では焼き肉店の火事が後を絶たない。渋川市では昨年4月、9人が死傷する火災があり、9月にも桐生市で火事が起きた。
焼き肉のテーブルなどを製造販売する「野田ハッピー」(千葉)によると、排気ダクトには一般的に、下引きと、テーブルの上から煙を吸い込む「上引き」がある。安全装置が付いていて熱を感知するとふたが閉まり、排気ダクトには火が回らないようになっているが、掃除を怠ると油などで作動しにくくなったり、排気ダクト内で火が燃え広がりやすくなるという。「手間やコストがかかっても安全には定期的な清掃は欠かせない」と指摘する。
一方で、客にも注意が必要なようだ。
「全国焼肉協会」に加盟する「もーもー亭」(渋川市)の豊川成孝さん(40)によると、近年は油が多いホルモンなどが人気で、消費量が増えている。安全対策として(1)大人数でも網に大量の肉を入れない(2)万が一燃え上がったら応急処置として氷を入れる―ことなどが有効と説明。「特に炭火は火力の調整が難しく、火種が飛びやすいので気を付けてほしい」と注意を促している。
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