3月1日 15時55分
人手不足を背景に学生に有利な「売り手市場」が続く中でも、志願者が大幅に増えたという自治体が福岡県にあります。なにが功を奏したのでしょうか?
カギは「先手必勝」と「人物重視」
福岡県内の市町村の採用試験は、例年、毎年8月から9月ごろに法律や数学など幅広い分野から出題される教養試験を受けた後、面接や論文の試験などを受けます。
こうした中、福岡県春日市では、優秀な人材をいち早く獲得しようと、おととし、採用試験の時期を2か月前倒しして7月に実施しました。また、民間企業への就職を志望する学生でも応募しやすいよう教養試験を廃止しました。
さらに、応募者全員と面接したうえで、多くの民間企業が実施している仕事への適正などを見る試験を導入するなど、次々と採用試験の在り方を変えて「人物重視」の試験を行っています。
その結果、おととしは10人程度の募集に対し、前の年よりおよそ400人多い1100人余りから応募が寄せられ、過去最高の110倍の倍率となりました。去年も、倍率が120倍となり、即戦力となる社会人経験者からの応募も増えているということです。
春日市では、優秀な人材の獲得競争が一段と激しくなっているとして、ことしは採用試験の時期をさらに2か月前倒しして5月上旬に行うことを決め、ツイッターなどのSNSを新たに活用して採用関連の情報を発信することにしています。
採用された男性「『人柄重視』に助けられた」
去年、春日市に採用され、管財課の技師として、公共施設の営繕工事の発注などにあたる田中基大さん(26)は、東京の建設会社で3年間、現場監督として働いていました。
いつかは生まれ育った春日市に戻って働きたいと考えていたということですが、希望していた市役所は、法律や数学など幅広い分野にわたる教養試験を受ける必要がありました。
また、市役所での勤務を希望する学生の中には、専門学校に通って公務員試験用の対策を学ぶ人も多く、社会人の田中さんは市役所の採用募集に高いハードルを感じていたといいます。
そうした中、教養試験を廃止し、受験者全員に面接をするなど「人物重視」の採用に変えた春日市に魅力を感じ、応募したところ、採用されたということです。
田中さんは「仕事をしながらだとなかなか勉強ができなかったので、全員の面接など、”人柄重視”の採用に助けられました。いまは、前の会社の知識もいかしながら仕事ができていて、すごくいい環境です」と話していました。
自治体の担当者「厳しい時代 よりよい人材を」
春日市人事法制課の藤田好 主事は「10年ほど前は公務員は安定しているとして人気のある職業だったが、近年は民間企業の景気もよく、人気が薄れている印象がある。少子高齢化、人口減少など厳しい時代に入っていくので、そういった時代に自治体を支える職員として、今から、よりいい人材をとっていく必要がある」と話しています。
人手不足を背景に学生に有利な「売り手市場」が続く中でも、志願者が大幅に増えたという自治体が福岡県にあります。なにが功を奏したのでしょうか?
カギは「先手必勝」と「人物重視」
福岡県内の市町村の採用試験は、例年、毎年8月から9月ごろに法律や数学など幅広い分野から出題される教養試験を受けた後、面接や論文の試験などを受けます。
こうした中、福岡県春日市では、優秀な人材をいち早く獲得しようと、おととし、採用試験の時期を2か月前倒しして7月に実施しました。また、民間企業への就職を志望する学生でも応募しやすいよう教養試験を廃止しました。
さらに、応募者全員と面接したうえで、多くの民間企業が実施している仕事への適正などを見る試験を導入するなど、次々と採用試験の在り方を変えて「人物重視」の試験を行っています。
その結果、おととしは10人程度の募集に対し、前の年よりおよそ400人多い1100人余りから応募が寄せられ、過去最高の110倍の倍率となりました。去年も、倍率が120倍となり、即戦力となる社会人経験者からの応募も増えているということです。
春日市では、優秀な人材の獲得競争が一段と激しくなっているとして、ことしは採用試験の時期をさらに2か月前倒しして5月上旬に行うことを決め、ツイッターなどのSNSを新たに活用して採用関連の情報を発信することにしています。
採用された男性「『人柄重視』に助けられた」
去年、春日市に採用され、管財課の技師として、公共施設の営繕工事の発注などにあたる田中基大さん(26)は、東京の建設会社で3年間、現場監督として働いていました。
いつかは生まれ育った春日市に戻って働きたいと考えていたということですが、希望していた市役所は、法律や数学など幅広い分野にわたる教養試験を受ける必要がありました。
また、市役所での勤務を希望する学生の中には、専門学校に通って公務員試験用の対策を学ぶ人も多く、社会人の田中さんは市役所の採用募集に高いハードルを感じていたといいます。
そうした中、教養試験を廃止し、受験者全員に面接をするなど「人物重視」の採用に変えた春日市に魅力を感じ、応募したところ、採用されたということです。
田中さんは「仕事をしながらだとなかなか勉強ができなかったので、全員の面接など、”人柄重視”の採用に助けられました。いまは、前の会社の知識もいかしながら仕事ができていて、すごくいい環境です」と話していました。
自治体の担当者「厳しい時代 よりよい人材を」
春日市人事法制課の藤田好 主事は「10年ほど前は公務員は安定しているとして人気のある職業だったが、近年は民間企業の景気もよく、人気が薄れている印象がある。少子高齢化、人口減少など厳しい時代に入っていくので、そういった時代に自治体を支える職員として、今から、よりいい人材をとっていく必要がある」と話しています。