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2月28日 19時54分
東京の化学メーカー「三星化学工業」の福井市にある工場の従業員と元従業員合わせて4人が、ぼうこうがんになったのは、会社が化学物質の発がん性を認識しながら必要な対策を怠ったからだとして、合わせておよそ3600万円の賠償を求める訴えを、福井地方裁判所に起こしました。
訴えによりますと、三星化学工業の福井市の工場の40代から50代の従業員3人と、65歳の元従業員の合わせて4人は、3年前から相次いでぼうこうがんになりました。4人は発がん性が指摘されている化学物質「オルトートルイジン」を使って染料や顔料を製造する作業に、長い人でおよそ27年間にわたって関わり続けましたが、これについて、専門機関の調査結果などから、会社は遅くとも平成13年には発がん性の疑いが認識できたのに、それ以降もTシャツ姿で作業をさせるなど、健康被害を防ぐ対策を怠ったと主張しています。
そして会社に対し、合わせておよそ3600万円の損害賠償を求めています。
原告と弁護団は28日、福井市内で記者会見し、原告の1人で元従業員の大久保英夫さん(65)が「ぼうこうがんが相次ぐ前に工場ではすでに気分が悪くなる従業員が複数出ていた。なぜ、その段階で会社が対策を打てなかったのか非常に疑問で、後手に回った対応についても裁判で明らかにしたい」と話しました。
三星化学工業はNHKの取材に対し、「訴状の内容を把握しておらずコメントは差し控えたい」としています。