2/26(月) 5:11配信
アジアプレス・ネットワーク
<北朝鮮内部>「我われの勝利で制裁は3月に緩む」 当局が国内で根拠なき宣伝 制裁影響深刻なせい?
経済制裁の影響が出始めている北朝鮮国内で、3月から制裁は緩むという説が広がっている。経済悪化が進む中で住民に不満が出始めており、当局が現実を糊塗しようと情報を流布させているようだ。(カン・ジウォン)
2月23日に中国税関当局が発表した貿易統計によると、今年1月の北朝鮮からの輸入額は約4700万ドル(約50億円)にとどまり、前年同月比で77%も減少した。
昨年8月以降に本格化した国際社会の経済制裁。石炭や、鉄鉱石、海産物などの北朝鮮からの輸入禁止、合弁事業の制限、石油製品の輸出制限などが維持されており、北朝鮮国内では経済悪化が進んでいる。
鉱山や水産業の中には操業中断に追い込まれた事業所も出ている。また、燃料価格の上昇によって物価が上がり、軍隊では物資輸送に牛車を使う部隊も出ている。
◆制裁は3月に緩和? 当局が根拠なき宣伝
ところが北朝鮮国内では、制裁が緩和されるという話が広がっているのだ。なぜだろうか?
「(平昌五輪で)南朝鮮に応援団が行き、会談までしたので経済制裁は間もなく緩む、3月から油の値段も下がるという話が広がっている」
と北部両江道の取材協力者の女性が22日に伝えてきた。
根拠を尋ねると、当局が住民向けの宣伝に力を入れているとして、次のよう述べた。
「五輪ことはよくわからないが、女性同盟の会議では、『経済封鎖を受けているが、もう少しすれば我われの勝利で終わる』という講演をした。また、市の宣伝部の人が(地域を)回って情勢講演をして『制裁はすぐに緩まる』と説明をしている。だが当局の説明をそのまま受け取る人はいないだろう」
両江道の別の取材協力者も次のように伝えてきた。
「恵山(ヘサン)の銅鉱山は中国の合弁先が事業を昨年9月に中断した。今、新たな合弁相手を見つけるために鉱山の人間が中国と行き来しているので、3月になったら合弁事業を再開できるだろうと説明している」
だが、合弁事業の停止は中国政府が国連安保理決議に基づいて決定したもので、再開するかどうかは安保理の判断に基づく。
このように、当局による「制裁緩和近し」という説明は、昨年から度々なされてきた。咸鏡北道の茂山(ムサン)鉄鉱山でも、制裁によって中国への輸出が止まった後、労働者に対し「間もなく輸出が再開される」という説明が繰り返されていた。中国の税関統計では、北朝鮮からの鉄鉱石輸入はゼロのままである。
金正恩政権が流布している「我われの勝利」や「制裁緩和」には根拠がない。制裁による経済悪化と民心の動揺を政権が心配していることの証左ではないだろうか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180226-00010001-asiap-kr