◆御園座、経済波及効果年間190億円に 民間試算
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(R&C)は21日、御園座タワー(名古屋市中区)開業による経済波及効果の試算結果を発表した。
4月のタワー内の新劇場オープンを踏まえ、愛知県に年約190億円の効果を生み出すと計算し、中部の商業施設と比べても波及効果は大きいと指摘した。
一帯の伏見地区にはオフィス新設も相次ぎ、御園座再興で新たなにぎわいの核になると分析している。
御園座の新劇場が入る御園座タワーは昨年12月に完成した。
約300戸の高層マンションと飲食・物販施設を備える複合ビルだ。
飲食・物販施設はすでに開業している。
4月に開業する新劇場は40階建てビルの2〜5階部分にある。
三菱UFJR&Cは年間50万人の来場者を想定した。
観劇のチケットやグッズを購入したり、周囲を観光したりする消費需要が年約187億円の波及効果につながるとした。
さらにマンションの住民による日々の暮らしにかかわる消費も年約9億円の効果につながるとみている。
こうした毎年発生する効果に加え、御園座タワーの建設工事に着工した14年以降にテナントの工事などを含めた建設需要が352億円の経済効果を生み出したとも指摘した。
県内の他の文化・レジャー系施設の経済効果としてはレゴランド・ジャパンの年895億円(中部圏社会経済研究所調べ)、名古屋城本丸御殿が年20億〜62億円(三菱UFJR&C調べ)といった推計が出されている。
三菱UFJR&Cの加藤義人主席研究員は「御園座開業に伴う経済効果は他の施設と比べても高い。
推計値には訪日外国人は考慮しておらず、効果はさらに高くなる可能性がある」としている。
名古屋駅周辺と栄地区の間にある伏見地区では御園座タワーとともに、碧海信用金庫の御園支店や岡崎信用金庫の名古屋支店など和のデザインを取り込んだ近代的なオフィスビルが相次いで建設されている。
加藤氏は「栄、名駅への(観光客の)回遊を誘発してにぎわいを創出し、名古屋市全体の魅力向上につながる」と分析する。
写真: 昨年12月に完成した複合ビル「御園座タワー」(名古屋市)
日本経済新聞 2018/2/21 22:25
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27211430R20C18A2L91000/