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2月19日 18時55分
安倍総理大臣が働き方改革に関連したデータをめぐる国会答弁を撤回したのを受け、厚生労働省は19日、衆議院予算委員会の理事会で、答弁の基にしたデータの調査方法が異なり単純に比較できないものだったと釈明し、謝罪しました。
働き方改革をめぐり、安倍総理大臣は先の衆議院予算委員会で「裁量労働制で働く人の労働時間は、平均的な人で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」とした国会答弁を撤回しました。
これを受けて厚生労働省は19日、幹部が衆議院予算委員会の理事会に出席して、答弁の基になったデータを精査した結果を報告しました。
この中で厚生労働省は、一般労働者と裁量労働制で働く人とで労働時間の調査の方法が異なっていて、単純に比較できないものだったと釈明しました。また、一般労働者のデータの中に、1日の時間外労働を45時間とするなど、少なくとも3件の誤りが確認されたと説明しました。そのうえで「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪しました。
これに対して野党側は、「データの取り扱いが不適切で、国民に大きな誤解を与えるものだ」などと反発し、さらに説明するよう求めました。
厚生労働省の説明詳細
一般の労働者と裁量労働制で働く人の労働時間を異なる質問の回答で比較していた経緯について、会見で厚生労働省の土屋喜久大臣官房審議官は「厚生労働省の審議会で使う基礎資料として平成25年度内にまとめた。その後、平成27年3月に当時の民主党の厚生労働部門会議で一般の労働者と裁量労働制で働く人の労働実態を見ることができるデータがないかといった議論を受けて初めて参考資料として提出した」と説明しました。
その際、問題のデータを1枚の表にして提出したということで「提出した資料は比較を意識して作ったものではない。部門会議でも特段、議論があったとは認識していない」と述べました。
しかし、会見によりますと異なる質問の回答で比較したデータは、その後、省内で十分確認されないまま国会での答弁でも引用されていたということです。
また、同様の方法で平成17年にも調査を行っていたということです。
裁量労働制で働く人の方が労働時間が短いとするデータはほかにはないということで、土屋審議官は「裁量労働制の方が労働時間が短いと見せかけるために意図的にデータを利用したのではないか」との質問に対して「異なる方法で選んだ数値を比較したことは不適切だったが意図的ではなかった」と説明しました。
また、なぜ今回の質問方法をとったかについては「『一般の労働者』については、長時間労働の実態を把握するために最長の時間を記録したが、『裁量労働制で働く人』については、状況を把握するため平成17年の前回調査と同様の方法で行った」と調査の趣旨が異なっていたと説明しました。
今後については「今後、データそのものを取り直すとかそういうことではない。関係者の処分については私の立場からは申し上げることができるものではない」と説明しました。
そのうえで裁量労働制を適用する業務の拡大を盛り込んだ「働き方改革の関連法案」への影響については「制度の見直しという意味においてこれまで審議してもらったことを実現していく重要性を説明しながら法案の準備を進めていきたい」と述べました。
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