【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領の政策顧問でホワイトハウス職員のトップに立つケリー首席補佐官が、配偶者暴力(DV)の疑いが浮上し辞任した部下の扱いなどを巡り、批判にさらされている。米主要メディアはケリー氏が周囲に「辞任の用意がある」と語ったと報道。トランプ氏が後任選びを始めたとの情報もある。
ホワイトハウスでは7日、ケリー氏の側近で大統領が目を通す書類の管理を担当していたポーター秘書官が、元妻2人からのDVの告発を受け辞任した。ケリー氏は疑惑が報じられた6日、ポーター氏を「真に誠実な人物」などと擁護する声明を発表。疑惑を数カ月前から把握していた可能性も指摘され、問題視されている。
ケリー氏は6日、子供時代に親に連れられ米国に入国した不法移民の救済策を巡り、記者団に「一部(の移民)は怠慢な連中だ」と発言。野党・民主党が反発している。
1月には、ケリー氏がメキシコ国境に壁を建設するトランプ氏の選挙公約を巡り、「大統領は公約当時、知識がなかった」と語ったと報じられ、トランプ氏がツイッターで否定するなど両者の亀裂も表面化している。
米メディアは9日、トランプ氏がケリー氏の言動に不満だと一斉に報道。ABCテレビは、トランプ氏と親交がある投資家トム・バラック氏が首席補佐官就任を打診され辞退したと報じた。後任には下院共和党のマッカーシー院内総務やマルバニー行政管理予算局長も浮上している。
退役海兵隊大将のケリー氏は昨年7月、内紛と情報漏えいの続くホワイトハウスの立て直しを図るためトランプ氏に請われて就任。軍隊式規律による組織運営で、ホワイトハウス職員とトランプ氏との接触を管理・制限し、政権に「秩序」をもたらしたとされた。
ホワイトハウスは9日、ケリー氏の辞意表明を否定したが、政権内にはケリー氏の厳格な組織運営手法に反発もあるとされる。トランプ大統領就任から1年あまりで「影のナンバー2」の首席補佐官が2回目の交代となれば、政権運営に影響を与えることは必至だ。
2018年2月10日 17時58分
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180211/k00/00m/030/025000c