http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42940954
2018/02/05
ショーン・コクラン、BBC教育・家族問題担当編集委員
子供が目指す将来の職業について、途上国の子供は英国男子よりも、高等教育を経た専門職を希望していることが、最近の国際的な調査で分かった。
英国の男の子がサッカー選手やYouTubeスターになりたがるのに対し、ウガンダやザンビアでは医師や教師になりたいという子が多い。
教育と雇用を推進する英慈善団体「Education and Employers」が2万人の子供を対象に調査を実施した。
研究チームは世界20カ国で7歳から11歳の小学生に、大きくなったらどんな仕事に就きたいかと質問し、答えを絵に描かせた。
男女の役割
同団体によると、子供がまだ小さい頃からいかに性別による役割のステレオタイプが固まってしまうかを示す結果となった。
英国では、技術者や科学者になりたいと答える女子の割合は、男子に比べてはるかに低かった
英国の女の子が憧れる職業の上位10種類には、看護師、ダンサー、美容師などが含まれた。
これに対して男子は、飛行機のパイロットや整備士などの希望が多かった。
女子に人気の仕事は、教師や獣医、医師など、学業での成功を重視する職種が多かった。
対照的に男子は、大衆文化の影響が大きい様子で、スポーツ選手のほか、ソーシャルメディアや警察の仕事などが人気だった。
社会的流動性
同団体によると、社会のだれもが階層を超えて高い地位を目指せるかどうかという「社会的流動性」については、幼少期から多様な職種に触れさせる必要があることが調査から分かった。
貧困地区の学校の女子は店員やエステティシャンになりたがる傾向が強く、比較的裕福な男子は経営者や弁護士を希望しがちだった。
英国以外の国では、苦しい生活にもかかわらず高い志を表す絵が目立った。
ウガンダとフィリピンでは、女子が最も希望する仕事は教師だった。パキスタン、バングラデシュ、コロンビア、インドネシアでは、医師志望が一番多かった。
中国では、男子に最も人気の職業は科学者だった。
しかし、英国でも他の国々でも、雇用市場の現実と子供の期待の間には、大きなずれがみられた。
独自性の発揮を
現実と希望のずれは、子供が大きくなっても継続すると同団体は指摘する。社会で実際にどんな技術が求められるのか、適切な助言を受けられないからだ。
「職業カウンセリングを中高で始めるのは、あまりにも遅すぎる」と、経済協力開発機構(OECD)教育・スキル局のアンドレアス・シュライヒャー局長は言う。
「子供は就学の時点ですでに、日常での経験をもとに、強い思い込みを抱いている。それは、子供たちの絵からも明らかだ」
英デロイトのグローバル会長のデイビッド・クリュックシャンク氏は、「社会的流動性を高めたい私たち全員にとって、意味のある結果だ」と話す。同氏は、調査を実施した慈善団体「Education and Employers」の理事長でもある。
「子供がどういうキャリアを目指すか、最も影響を与えるのは、その子の身近な人だ」
英国初等学校長会(NAHT)会長のアン・ライオンズ氏は、家族の期待というお仕着せの「枠」の外に出るのが、若い人にとっていかに大変なことかが、調査結果から分かると指摘する。
「Education and Employers」責任者のニック・チェンバーズ氏は調査結果について、小学生が早い段階で将来の可能性を限定してしまわないよう、「自分たちに開かれている幅広い選択肢」について知る必要があることを示していると語った。
(リンク先に続きあり)
2018/02/05
ショーン・コクラン、BBC教育・家族問題担当編集委員
子供が目指す将来の職業について、途上国の子供は英国男子よりも、高等教育を経た専門職を希望していることが、最近の国際的な調査で分かった。
英国の男の子がサッカー選手やYouTubeスターになりたがるのに対し、ウガンダやザンビアでは医師や教師になりたいという子が多い。
教育と雇用を推進する英慈善団体「Education and Employers」が2万人の子供を対象に調査を実施した。
研究チームは世界20カ国で7歳から11歳の小学生に、大きくなったらどんな仕事に就きたいかと質問し、答えを絵に描かせた。
男女の役割
同団体によると、子供がまだ小さい頃からいかに性別による役割のステレオタイプが固まってしまうかを示す結果となった。
英国では、技術者や科学者になりたいと答える女子の割合は、男子に比べてはるかに低かった
英国の女の子が憧れる職業の上位10種類には、看護師、ダンサー、美容師などが含まれた。
これに対して男子は、飛行機のパイロットや整備士などの希望が多かった。
女子に人気の仕事は、教師や獣医、医師など、学業での成功を重視する職種が多かった。
対照的に男子は、大衆文化の影響が大きい様子で、スポーツ選手のほか、ソーシャルメディアや警察の仕事などが人気だった。
社会的流動性
同団体によると、社会のだれもが階層を超えて高い地位を目指せるかどうかという「社会的流動性」については、幼少期から多様な職種に触れさせる必要があることが調査から分かった。
貧困地区の学校の女子は店員やエステティシャンになりたがる傾向が強く、比較的裕福な男子は経営者や弁護士を希望しがちだった。
英国以外の国では、苦しい生活にもかかわらず高い志を表す絵が目立った。
ウガンダとフィリピンでは、女子が最も希望する仕事は教師だった。パキスタン、バングラデシュ、コロンビア、インドネシアでは、医師志望が一番多かった。
中国では、男子に最も人気の職業は科学者だった。
しかし、英国でも他の国々でも、雇用市場の現実と子供の期待の間には、大きなずれがみられた。
独自性の発揮を
現実と希望のずれは、子供が大きくなっても継続すると同団体は指摘する。社会で実際にどんな技術が求められるのか、適切な助言を受けられないからだ。
「職業カウンセリングを中高で始めるのは、あまりにも遅すぎる」と、経済協力開発機構(OECD)教育・スキル局のアンドレアス・シュライヒャー局長は言う。
「子供は就学の時点ですでに、日常での経験をもとに、強い思い込みを抱いている。それは、子供たちの絵からも明らかだ」
英デロイトのグローバル会長のデイビッド・クリュックシャンク氏は、「社会的流動性を高めたい私たち全員にとって、意味のある結果だ」と話す。同氏は、調査を実施した慈善団体「Education and Employers」の理事長でもある。
「子供がどういうキャリアを目指すか、最も影響を与えるのは、その子の身近な人だ」
英国初等学校長会(NAHT)会長のアン・ライオンズ氏は、家族の期待というお仕着せの「枠」の外に出るのが、若い人にとっていかに大変なことかが、調査結果から分かると指摘する。
「Education and Employers」責任者のニック・チェンバーズ氏は調査結果について、小学生が早い段階で将来の可能性を限定してしまわないよう、「自分たちに開かれている幅広い選択肢」について知る必要があることを示していると語った。
(リンク先に続きあり)