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2月2日 18時08分
31日、札幌市東区で生活保護受給者などの自立を促す共同住宅が全焼し、男女11人が死亡した火災で、出火当時、爆発音とともに天井が崩れ落ちるなどしていたことから警察は、爆発的な燃焼が起きる「フラッシュオーバー」と呼ばれる現象が起き、短時間に燃え広がった可能性があると見て詳しく調べています。
31日夜遅く、札幌市東区にある生活保護受給者などの自立を促す共同住宅「そしあるハイム」から火が出て、16人が入居していた建物が全焼し、焼け跡から40代から80代と見られる男性8人と女性3人の合わせて11人の遺体が見つかり警察が身元の確認を急いでいます。
警察によりますと、目撃者の話から今回の火災では、火の回りが速く、短時間で煙が充満したと見られていますが、その後の調べで、建物内では何度も爆発音がしたあと、屋根や部屋の天井が崩れ落ちていたことが新たにわかりました。
また、当時、建物の1階の廊下には灯油タンクが置かれていて、火災で熱せられ、可燃性ガスが発生しやすい状態だったということです。
このため警察は、可燃性ガスに炎が引火し、瞬間的に爆発的な燃焼をする「フラッシュオーバー」と呼ばれる現象が起きて、短時間に燃え広がり被害が拡大した可能性があると見て調べています。
元代表「運営の維持は大変」
火災が起きた共同住宅「そしあるハイム」を運営する会社で2年前まで代表を務めていた中塚忠康さん(74)がNHKの取材に応じました。
中塚さんによりますと、この共同住宅では札幌市などで路上生活をしたり、もとの住まいが取り壊され行く当てがなくなったりした人を受け入れてきたということで、今回の火災で亡くなった人の中には10年前後、入居していた人も多くいたといいます。
中塚さんは代表を退いたあとも入居者との交流を続けていて、「この前まで声をかけていた仲間が亡くなったことは非常にショックです。残念で、申し訳ないと思います」と話しました。
また、建物の構造について、「各階に階段が2か所ずつあるほか、2階には縄ばしごも設置していました」と述べて、逃げにくい構造ではなかったとの考えを示しました。
一方で、スプリンクラーが設置されていなかった点については「生活保護受給者に1日1000円でも自由に使えるお金を残すには家賃や管理費を低く抑える必要がありますが、そうなると運営を維持することは大変です。防火設備の充実にまで全責任を負わされるとわれわれのような共同住宅は運営できなくなる」と話しています。
専門家「社会全体で考える課題」
社会福祉が専門で路上生活者の支援などにも関わっている、札幌国際大学短期大学部の山内太郎准教授は火災が起きた施設について、「法的な位置づけがなく、制度のはざまに置かれている居住形態だ。生活の世話をしてくれる身寄りがなく、生活保護を受けるなど、経済的にも苦しい人たちの受け皿になっているのが実態だ」と指摘しました。
そのうえで山内准教授は、「防火対策など施設を大幅に改修しようとすると入居者の金銭的な負担が増えてしまうことになり、改修を行うことが難しかったのではないか。安全面での対策も含めて、生活に困った人たちの受け皿となる施設を、どのように整備し、運営していくのかは、社会全体で考えていくべき課題だ」と話していました。
2月2日 18時08分
31日、札幌市東区で生活保護受給者などの自立を促す共同住宅が全焼し、男女11人が死亡した火災で、出火当時、爆発音とともに天井が崩れ落ちるなどしていたことから警察は、爆発的な燃焼が起きる「フラッシュオーバー」と呼ばれる現象が起き、短時間に燃え広がった可能性があると見て詳しく調べています。
31日夜遅く、札幌市東区にある生活保護受給者などの自立を促す共同住宅「そしあるハイム」から火が出て、16人が入居していた建物が全焼し、焼け跡から40代から80代と見られる男性8人と女性3人の合わせて11人の遺体が見つかり警察が身元の確認を急いでいます。
警察によりますと、目撃者の話から今回の火災では、火の回りが速く、短時間で煙が充満したと見られていますが、その後の調べで、建物内では何度も爆発音がしたあと、屋根や部屋の天井が崩れ落ちていたことが新たにわかりました。
また、当時、建物の1階の廊下には灯油タンクが置かれていて、火災で熱せられ、可燃性ガスが発生しやすい状態だったということです。
このため警察は、可燃性ガスに炎が引火し、瞬間的に爆発的な燃焼をする「フラッシュオーバー」と呼ばれる現象が起きて、短時間に燃え広がり被害が拡大した可能性があると見て調べています。
元代表「運営の維持は大変」
火災が起きた共同住宅「そしあるハイム」を運営する会社で2年前まで代表を務めていた中塚忠康さん(74)がNHKの取材に応じました。
中塚さんによりますと、この共同住宅では札幌市などで路上生活をしたり、もとの住まいが取り壊され行く当てがなくなったりした人を受け入れてきたということで、今回の火災で亡くなった人の中には10年前後、入居していた人も多くいたといいます。
中塚さんは代表を退いたあとも入居者との交流を続けていて、「この前まで声をかけていた仲間が亡くなったことは非常にショックです。残念で、申し訳ないと思います」と話しました。
また、建物の構造について、「各階に階段が2か所ずつあるほか、2階には縄ばしごも設置していました」と述べて、逃げにくい構造ではなかったとの考えを示しました。
一方で、スプリンクラーが設置されていなかった点については「生活保護受給者に1日1000円でも自由に使えるお金を残すには家賃や管理費を低く抑える必要がありますが、そうなると運営を維持することは大変です。防火設備の充実にまで全責任を負わされるとわれわれのような共同住宅は運営できなくなる」と話しています。
専門家「社会全体で考える課題」
社会福祉が専門で路上生活者の支援などにも関わっている、札幌国際大学短期大学部の山内太郎准教授は火災が起きた施設について、「法的な位置づけがなく、制度のはざまに置かれている居住形態だ。生活の世話をしてくれる身寄りがなく、生活保護を受けるなど、経済的にも苦しい人たちの受け皿になっているのが実態だ」と指摘しました。
そのうえで山内准教授は、「防火対策など施設を大幅に改修しようとすると入居者の金銭的な負担が増えてしまうことになり、改修を行うことが難しかったのではないか。安全面での対策も含めて、生活に困った人たちの受け皿となる施設を、どのように整備し、運営していくのかは、社会全体で考えていくべき課題だ」と話していました。