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2018/01/30(火) 23:52:31.29ID:CAP_USER9国の放射線審議会の事務局を務める原子力規制委員会が、東京電力福島第1原発事故後に国が設けた放射線に関する基準の妥当性の検証に乗り出している。次回の審議会総会で除染の目安とされる空間線量(毎時0・23マイクロシーベルト)をめぐり議論するほか、食品の基準についても今後、俎上に乗せる方針だ。規制委は「基準の『見直し』ではない」と強調するが、復興のハードルにもなってきた「もっとも安全側に立った基準」が、事故から7年間の知見を基に、科学的な目で問われることになる。(社会部編集委員 鵜野光博)
■「0・23」が一人歩き
「事故当初は手探りで実証データも少ないから、非常に保守的(安全寄り)な値が設定されるのは致し方ないが、いつまでも改めないのは大きな問題だ」
17日の規制委定例会合で更田(ふけた)豊志委員長が「4倍以上の保守性がある」としたのは、国が除染の長期目標とした個人の年間追加被曝線量1ミリシーベルトを1時間当たりの空間線量に換算した「毎時0・23マイクロシーベルト」だ。除染実施計画を策定する地域の要件などに使われている。
これに対し、福島県伊達市で住民が個人線量計を身につけて得た実測値で、外部被曝線量は空間線量の約0・15倍だったとする論文が発表。更田氏はこの論文などを根拠に「毎時1マイクロシーベルトの所に居住しても年間の被曝線量は1ミリシーベルト以下になる」と指摘、「0・23という数値が一人歩きしている」として、空間線量と被曝線量との関係を明確にするよう放射線審議会の事務局に指示した。
■被災地での“約束”
唐突に見えた提起だったが、更田氏は昨年12月から今年1月にかけて行なった福島県内の首長との意見交換で「放射線のレベルは過剰に低く設定され、それによって失うものがある」と指摘。11日のいわき市では、放射性廃棄物の1キロ当たり8千ベクレルや一般食品の1キロ当たり100ベクレルの基準についても「極端に低い値」とし、「放射線審議会などでの議論に向けて努力を続けたい」と述べていた。
同審議会では19日の総会で「0・23マイクロシーベルト」をめぐる議論を次回総会で行うことを了承。食品基準について事務局は「50%が汚染されていると仮定された数値で、現状とのずれがある」として、審議会での議論に向けて関係省庁から情報を集めていることを明かす。
■「科学的な正しさだけではない」
ただ、環境省によると除染は帰還困難区域を除いてほぼ完了しており、福島県の行政関係者は「今、0・23という数値を裏返すことに、どういう意味があるのか」と首をひねる。
更田氏は24日の定例会見で「除染の基準を見直そうといった意図は全くない」と事実上後退。「0・23がどのぐらいの保守性を持っているかを明確にするだけで、リスクを正確に伝える観点で大きな前進だ」とした。また、「食品基準の1キロ当たり100ベクレルは、米国(1200ベクレル)などと比べ過度に厳しいという議論はあるが、過度の基準をクリアしていると言った方が福島の人にメリットがあるかもしれない。科学的に正しい正しくないだけではない難しい問題をはらんでいる」と述べた。
■「1ミリシーベルト」の呪縛
追加被曝線量1ミリシーベルト以下の基準は民主党政権下で決定。国際放射線防護委員会(ICRP)による事故からの復興途上での線量抑制の目安「年間1〜20ミリシーベルト」の下限値だ。また、年間100ミリシーベルト以下の低線量被曝による発がんリスクを証明するのは、極めて難しいとされている。
更田氏は24日の会見で「率直に言って、参考レベル(1ミリシーベルト)の設定にしくじったのかもしれない」と述べる一方、「時間が経過してから変更することが果たして正しいのかどうか。1ミリの議論はもっとも重要で基本にかかわるものではあるが、現状でそれに手を付けるかのような議論に入るのは、福島の方々にとってメリットよりデメリットの方が大きいのではないかと感じているし、歴史的な検証の世界の話なのではないか」と見直しに否定的な見方を示した。
>>2以降に続く
配信2018.1.30 17:00
産経ニュース
http://www.sankei.com/life/news/180130/lif1801300001-n1.html