AbemaTIMES 2018.01.15 11:30
https://abematimes.com/posts/3540610
9日、東京地裁に現れたサイボウズの青野慶久社長。「名前が変わるという精神的ストレスだけではなくて、経済合理性から見ても日本の損失になっていると訴えたい」「通称使用で困っている方々、別姓にした方々の旧姓に法的な根拠を与えてほしい。それだけでたくさんの人が救われる」として、国を提訴したのだ。
2001年、結婚を機に妻の姓にした青野氏。男性が女性の姓に変えるケースは全体の4%ほどだというが、「世の中には旧姓で働き続けている人がたくさんいるし、『青野』を使い続けようと思っていた。妻が変えたくないと言うので、じゃあ自分が変えてみようかなと、気軽な気持ちだった」。
結婚して姓を変える場合には、銀行口座、運転免許証、健康保険証などの名義変更が必要になるなど、様々な手続きや不都合が発生する。青野氏も様々な問題に直面した。「銀行口座などの名前を変える手続きにウンザリしたが、びっくりしたのは証券口座。財産なので戸籍上の名前に合わせないといけないということだが、創業社長としてたくさん株式があった私は、名義変更に81万円かかった。しかも私ではなく会社に請求が行った」。
■"左翼""日本から出ていけ"という激しい批判も
チームやコラボレーションを支援するツールを開発してきたサイボウズ株式会社。「世界中のチームワークをよくするというのが私たちのミッション」との青野氏が説明するとおり、手厚い育児休暇、自由な労働時間、在宅勤務、子連れ出勤制度など多様性に対応した職場環境を整備し、離職率低下を成功させた。昨年12月8日、青野氏は「一律な残業削減から多様な個性を活かす、そういう働き方改革にシフトしていくこと。一人ひとり事情が違う。別姓の話も同じだ。同姓にしたい人は同姓にすればいい。別姓にしたい人は別姓にすればいい。ここに選択肢があって、それぞれが自分らしい人生を歩めるようにする。それを理想にシフトしていきたい」とも語っていた。
今回、青野氏ら4人の原告は「戸籍法の不備による不平等が憲法違反」と主張、法の不備が放置されたことで生じた損害賠償220万円を請求している。あくまでも青野氏が個人として提起したもので、サイボウズが関係するものではない。「応援の声が圧倒的に多い」というが、"売名行為""みみっちい""ケチ""左翼""日本から出ていけ"など、激しい批判の声も寄せられているという。
2年前、民法が定める"夫婦同姓"の規定は憲法違反に当たるとした訴訟で最高裁は合憲との判断を下し、原告の訴えを退けている。青野氏らは、なぜ再び同じような訴訟を起こしたのだろうか。果たして勝算はー。12日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では青野社長と担当弁護士を直撃した。
■「法の欠缺」を突いた新たなアプローチ
青野氏ら原告側は今回、「法の欠陥」を突いた新たなアプローチで闘うのだという。
「今までの夫婦別姓は男女の問題として捉えられがちだった。民法を問題にした2015年の最高裁判決では、15人の裁判官のうち10人が違憲ではないと判断したが、3人の女性判事は全て違憲だと判断していた。つまり男女で偏った判決ではないかという印象を受けた。今回はそうではなく、単純に戸籍法に不備があって損害が出ているということ。男女のことは全然関係ない」(青野氏)。
現行の戸籍法では、日本人と外国人とが結婚する際、自分か配偶者の姓を選ぶことができ、離婚する際も同様だ。しかし日本人同士の場合、離婚する際は姓を選べるが、結婚する際は姓を選ぶことができない。原告側はこの点を問題視、戸籍法が個人の尊厳と両性の本質的平等を謳った憲法24条2項、また法の下の平等を謳った憲法14条1項に反しており、さらに国会の立法不作為が国家賠償法上の違法にあたると主張しているのだ。
「日本人同士の結婚の場合の法律が足りていない、"法の欠缺(けんけつ)"ということ。それを立法機関である国会がサボってきたことで損害が生まれたので、補償してほしいということだ」(青野氏)。
続きは>>2
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9日、東京地裁に現れたサイボウズの青野慶久社長。「名前が変わるという精神的ストレスだけではなくて、経済合理性から見ても日本の損失になっていると訴えたい」「通称使用で困っている方々、別姓にした方々の旧姓に法的な根拠を与えてほしい。それだけでたくさんの人が救われる」として、国を提訴したのだ。
2001年、結婚を機に妻の姓にした青野氏。男性が女性の姓に変えるケースは全体の4%ほどだというが、「世の中には旧姓で働き続けている人がたくさんいるし、『青野』を使い続けようと思っていた。妻が変えたくないと言うので、じゃあ自分が変えてみようかなと、気軽な気持ちだった」。
結婚して姓を変える場合には、銀行口座、運転免許証、健康保険証などの名義変更が必要になるなど、様々な手続きや不都合が発生する。青野氏も様々な問題に直面した。「銀行口座などの名前を変える手続きにウンザリしたが、びっくりしたのは証券口座。財産なので戸籍上の名前に合わせないといけないということだが、創業社長としてたくさん株式があった私は、名義変更に81万円かかった。しかも私ではなく会社に請求が行った」。
■"左翼""日本から出ていけ"という激しい批判も
チームやコラボレーションを支援するツールを開発してきたサイボウズ株式会社。「世界中のチームワークをよくするというのが私たちのミッション」との青野氏が説明するとおり、手厚い育児休暇、自由な労働時間、在宅勤務、子連れ出勤制度など多様性に対応した職場環境を整備し、離職率低下を成功させた。昨年12月8日、青野氏は「一律な残業削減から多様な個性を活かす、そういう働き方改革にシフトしていくこと。一人ひとり事情が違う。別姓の話も同じだ。同姓にしたい人は同姓にすればいい。別姓にしたい人は別姓にすればいい。ここに選択肢があって、それぞれが自分らしい人生を歩めるようにする。それを理想にシフトしていきたい」とも語っていた。
今回、青野氏ら4人の原告は「戸籍法の不備による不平等が憲法違反」と主張、法の不備が放置されたことで生じた損害賠償220万円を請求している。あくまでも青野氏が個人として提起したもので、サイボウズが関係するものではない。「応援の声が圧倒的に多い」というが、"売名行為""みみっちい""ケチ""左翼""日本から出ていけ"など、激しい批判の声も寄せられているという。
2年前、民法が定める"夫婦同姓"の規定は憲法違反に当たるとした訴訟で最高裁は合憲との判断を下し、原告の訴えを退けている。青野氏らは、なぜ再び同じような訴訟を起こしたのだろうか。果たして勝算はー。12日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では青野社長と担当弁護士を直撃した。
■「法の欠缺」を突いた新たなアプローチ
青野氏ら原告側は今回、「法の欠陥」を突いた新たなアプローチで闘うのだという。
「今までの夫婦別姓は男女の問題として捉えられがちだった。民法を問題にした2015年の最高裁判決では、15人の裁判官のうち10人が違憲ではないと判断したが、3人の女性判事は全て違憲だと判断していた。つまり男女で偏った判決ではないかという印象を受けた。今回はそうではなく、単純に戸籍法に不備があって損害が出ているということ。男女のことは全然関係ない」(青野氏)。
現行の戸籍法では、日本人と外国人とが結婚する際、自分か配偶者の姓を選ぶことができ、離婚する際も同様だ。しかし日本人同士の場合、離婚する際は姓を選べるが、結婚する際は姓を選ぶことができない。原告側はこの点を問題視、戸籍法が個人の尊厳と両性の本質的平等を謳った憲法24条2項、また法の下の平等を謳った憲法14条1項に反しており、さらに国会の立法不作為が国家賠償法上の違法にあたると主張しているのだ。
「日本人同士の結婚の場合の法律が足りていない、"法の欠缺(けんけつ)"ということ。それを立法機関である国会がサボってきたことで損害が生まれたので、補償してほしいということだ」(青野氏)。
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