長岡技術科学大は10日、青くてざらつきのある紙を筆記するときに使うと、白い滑らかな紙を使うよりも集中力が約1・5倍向上するという研究成果を得たと発表した。色と感触が脳の活性化を促す作用があるとみており、ノートなどに採用すれば、学習効果を高められる可能性もある。
同大技術科学イノベーション専攻の中川匡弘教授が、製紙大手の王子ホールディングス(HD)と共同研究した。王子HDの子会社が今後、研究を基に色や材質を最適化した紙「OKシナプス(仮称)」を製造する。すでに学習帳や手帳などのメーカーから引き合いがあり、今夏にも商品化される見込みという。
中川教授らは昨年、長岡技科大の学生ら20代の男女計75人を対象に、脳波測定器を装着して実験した。白と青、黄、ピンクの色、表面のざらつきや厚さなどを変えた約20種類の紙を使い、それぞれの紙で計算力、記憶力、論理力を測るテストを実施した。
その結果、青く適度にざらつきのある紙を使用した場合は、三つの能力を数値化して総合した「集中力」が、白い滑らかな紙を使ったときに比べて58%向上することを確認した。滑らかな青い紙でも27%高まったという。
中川教授は10日の記者会見で「嫌悪感のない色や、紙の感触が脳を活性化するのではないか。小学生などのほか、認知症の抑制にも効果が確認できれば、医療分野にも活用できる可能性がある」と指摘した。
配信2018/01/11 08:35
新潟日報
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