M&A(企業の合併・買収)を成長のエンジンとして位置づけている企業の代表格といえば、総合モーターメーカーの日本電産だろう。M&Aは昭和59年の第1号案件から数えて57件に達し、このうち32件が海外企業だ。平成30年3月期連結決算の売上高は1兆4500億円に達すると予想、32年度の売上高目標2兆円達成も視野に入る。
創業者の永守重信会長兼社長は昨秋都内で行った講演でこう振り返った。「M&Aがなければ現在の売り上げ規模は半分。成長はM&Aのおかげだ」。そしてM&Aを成功に導くための3つの条件を挙げた。(1)高値づかみをしない(2)買収先の経営は現地の人に任せ、買収側はあくまでも株主の立場から経営に関与(3)相乗効果(シナジー)。「M&A巧者」として知られる永守氏のM&A哲学である。
M&A助言のレコフによると、29年の日本企業による海外企業のM&Aは前年比5.7%増の672件と4年連続で過去最多を更新。金額ベースでは1兆円を超す大型案件がなく小規模案件が増えて29.3%減の7兆4802億円となったが、レコフは30年も「海外M&Aは引き続き活発に推移する」と予想する。少子高齢化に伴う国内市場縮小に直面している日本企業がM&Aを通じて海外に活路を求めている姿が浮かび上がる。
だが、東芝が傘下の米原発子会社に絡んで巨額損失を計上したように、日本企業による海外M&Aは期待通りの成果を上げられないケースが目立つ=表。独立系M&Aリスクコンサルティング会社「JPリサーチ&コンサルティング」の顧問、杉山仁氏はこう分析する。「私の実務経験によると、海外M&Aの成功率は2割程度。約8割が失敗し、29年をベースにすると、約6兆円の国富が失われるのに等しい」。トップの独断専行、買収先に経営を丸投げ…。M&A仲介者が持ち込んできた案件にトップが安易に飛びつき、高値づかみをしてしまうケースも少なくない。
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