経営再建中の老舗百貨店ヤマトヤシキ(兵庫県姫路市)は29日、同社発祥の店である姫路店を来年2月末で閉店すると発表した。現在の店舗ビルを建て替えた上で、商業施設として活用する計画だが、ホテルや住宅の機能を備えることも検討するという。加古川店(加古川市)は営業を続ける。同店に経営資源を集約して企業再生を加速させる。
同日午前、本社がある姫路店で臨時株主総会を開き、姫路店の閉店を決めた。同社によると、11月末時点で264人が勤務しているが、閉店に伴う従業員の処遇は未定という。
同社は2015年、私的整理手続き「事業再生ADR」を活用。金融機関から債務免除を受け、スポンサーとなった投資ファンド「マイルストーンターンアラウンドマネジメント」(MTM、東京)の下で経営再建を進めている。
このうち姫路店では16年に食品売り場を刷新し、直営カフェや有名家具店を誘致するなどしててこ入れを図った。しかし、競争激化で集客は伸び悩んでおり、17年2月期の同店売上高は、この10年間で6割近く減少。全社売上高も約122億円にとどまり、7年連続で経常赤字が続いている。
同店は、地上8階(一部12階)・地下1階建てで、営業面積は1万6700平方メートル。ただ、1957年の完成から60年が経過しており、建物の老朽化が集客力のある新テナントの誘致を阻んでいた。同店は全社の赤字の約7割を占めているといい、「不採算体質からの脱却は難しく、止血が必要」(ヤマトヤシキ)として、現状での営業継続を断念した。
閉店に伴って現店舗ビルは建て替え、低層階などに商業機能を持たせるとともに、他の部分をマンションやホテルなどにすることも検討する方針だ。
同社の経営再建を巡っては、免税店大手のラオックス(東京)が今年8月、新株予約権計7億円分を引き受けた。権利を全て行使した場合、議決権の79・6%を握ることになる。ラオックスは姫路店の閉店について「現経営陣が決めたことなので、コメントする立場にない」としている。(長尾亮太、井上太郎)
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ひょうご経済プラス
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