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12月18日 5時36分
スペインからの独立問題で揺れる北東部のカタルーニャ州では、独立の賛否を最大の争点にした州議会選挙の投票日を前に、最後の週末となった17日、ラホイ首相みずから現地入りして独立反対派への投票を呼びかけるなど、選挙戦は激しさを増しています。
スペイン北東部のカタルーニャ州では、ことし10月州議会が一方的な独立宣言を可決したことを受けて、スペイン政府が憲法に基づいて州政府の幹部を解任し、州議会を解散したことで今月21日に選挙が行われます。
投票日を4日後に控え、最後の週末となった17日、スペインのラホイ首相がカタルーニャ州に入り、国政では与党でありながら現地では少数政党の国民党の集会に参加しました。
ラホイ首相は「独立運動は経済と人々の暮らしに深刻な打撃を与えている」と批判して、独立反対派に投票するよう呼びかけました。
一方、独立支持派も、スペイン政府から州首相を解任されたプチデモン氏が率いる政党が集会を開きました。ベルギーに滞在しているプチデモン氏はインターネットを通じて演説し、「中央政府は暴力や非民主的な手段でカタルーニャ人の思いを覆そうとしているが、われわれは絶対に諦めない」と述べて、独立支持派への投票を呼びかけました。
スペインの有力紙が今月行った世論調査では、独立支持派と反対派はきっ抗していて、今月21日の投票日に向けて選挙戦は激しさを増しています。
独立反対派「首相の来訪はプラス」
ラホイ首相が出席した独立反対派の国民党の集会に参加した39歳の男性は「今回の選挙はこれまで経験のない激しい政治的、社会的な対立の中で行われている。独立支持派の圧力を受ける中で、ラホイ首相が来てくれたことは大きなプラスになる」と話し、独立反対派の選挙運動に弾みがつくことに期待していました。
独立支持派「ラホイ首相は私たちの首相でない」
カタルーニャ州の独立支持派の集会ではプチデモン氏が演説すると、集まったおよそ700人の支持者がいっせいに立ち上がって拍手し、プチデモン氏にいまも熱烈な支持があることをうかがわせていました。支持者の60代の男性は「カタルーニャ人を救うために彼がここに戻ってくると確信している。ラホイ首相は私たちの首相ではない」と話していました。
独立支持派は黄色いリボン
今回の選挙でカタルーニャ州の独立を支持する市民グループは、黄色いリボンを支持派のシンボルにしようとしています。
黄色いリボンは3年前、独立を支持するスペイン議会上院の議員が使ったのが始まりとされ、今回、独立支持派の候補者や市民が胸に着けたり、集会で配ったりするなど、街頭での活動で再び使うようになりました。17日も州都バルセロナの中心部で黄色いリボンを橋の欄干に結びつけていました。
独立支持派としては、黄色いリボンをシンボルとすることで、州議会の強制的な解散や、州政府の元幹部の拘束に踏み切った中央政府への抗議の意思を鮮明にするのが目的だとしているほか、独立への機運がそがれないようにしたいという狙いもあると見られます。
市民グループによりますと、黄色いリボンの活動は、ロンドンやパリ、ベルリンなどでも行ったということで、スペイン国外でも独立運動に理解を求めたい考えです。