九州にある気象庁の観測地点で最も標高が高く、冬場には九州で最も低い気温を頻繁に記録する
阿蘇山特別地域気象観測所(熊本県南阿蘇村)が11日、気象情報の観測を終える。
19年前の無人化後も維持されていた観測機器が、2014年に活発化した阿蘇・中岳の噴火で影響を受け、
正確な観測が困難になった。火山活動の監視とともに始まった気象観測は、86年の歴史に幕を下ろす。
同観測所は火口から約1・2キロの阿蘇山上広場にあり、標高1142・3メートル。
今季一番の寒気が流れ込んだ5日には、氷点下6・3度を観測し、この日の九州で最も低かった。
1931年、昭和天皇の阿蘇訪問と、国立公園の制定を控えて増加する観光客の安全確保を理由に、
火山観測所として設置された。職員が交代で24時間常駐し、火山活動の監視を主要業務としながら、
気温や積雪、風速などの観測も担った。
84〜88年に現地で勤務した福岡管区気象台観測課の宮田浩課長は「風が強過ぎて積雪の計測に苦労した」
と振り返る。厳しい気象条件のため、職員が遭難死したり大雪で下山できなくなったりした歴史もある。
そうして得た気象情報は、山上を訪ねる観光客に重宝されてきた。
火山の観測は機器が無事なため継続するが、気象観測は今後、山麓のみとなる。宮田課長は
「寂しくもあるが、山麓の情報を充実させ住民生活に役立ちたい」と話した。
気象観測を終える阿蘇山特別地域気象観測所。奥は中岳の火口から上がる噴煙=7日、熊本県
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