ところが、調査によると、来館者が目にする断片のいくつかは現代の偽造品かもしれないという。
聖書博物館は非常に注目されている。創設者は手芸用品チェーン店ホビー・ロビー社の経営者であるスティーブ・グリーン氏。同氏は、古代の遺物の購入・収集について、世間の厳しい監視の目にさらされてきた。たとえば、米国当局が密輸品だと主張する5500片の古い粘土板。ホビー・ロビー社は7月に司法省と和解し、この粘土板をイラクに返還している。
学者の中には、同博物館の強引な収集の仕方を冷ややかな目で見る人もいる。しかし、グリーン氏と博物館の職員によると、たしかに収集を始めた初期には十分な助言を得られていなかったが、聖書博物館は学問的にベストなやり方に従っていると強調する。
現在は、著名な聖書学者のデイビッド・トロビッシュ氏が収集ディレクターを務めており、聖書博物館は死海文書研究の支援も行っている。
「巨大な博物館の中に疑わしい物がまったくないだろうと考えるのは、水の中にアメーバがいないと信じるようなものです」と言うのは、米ニューヨーク大学の聖書学者ローレンス・シフマン氏。同氏は、博物館での死海文書の展示について助言を行った。「聖書博物館は、すべきことはすべて行いました」
「2002年以降の断片」はほぼ偽造品?
70年ほど前、ヨルダン西部クムランの洞窟でベドウィンの羊飼いが見つけた死海文書は、数多くのヘブライ語聖書(旧約聖書)の文書の断片から成る。1800年前のものから2000年以上前のものまであり、これまでに発見されたなかで最古の聖書写本も含まれる。
ベドウィンからこの文書の多くを買い取ったのが、地元の商人「カンドー」ことハリル・イスカンダル・シャヒーン。1947年から1953年にかけて、買い集めた死海文書を収集家や学術機関に転売した。しかし、1970年にユネスコの文化財不法輸出入等禁止条約が採択され、不当な発掘や新たに発見された文書の売却は違法となった。
現在、合計で10万片に及ぶ死海文書の多くは、エルサレムにあるイスラエル博物館内の「死海写本館」に収蔵されている。したがって個人市場で売買されているのは、1970年以前に個人コレクションに加わった数多くの「切れ端」たちである。条約発効以前から存在したものについては適用が除外されるためだ。
21世紀に入って、条約が適用されない75の断片(そのほとんどがせいぜい高額硬貨ほどの大きさ)が、売りに出された。その多くはカンドーの親族が売り出したものだったが、そのうち少なくとも13の断片を、2009年から2014年の間にグリーン氏の家族が購入した。これら「2002年以降」の断片の多くは、学問的な発見とはならない。そこに書かれた文言はそれ以前の死海文書からわかっている内容の写しである。にもかかわらず、博物館や個人収集家は、貴重な古文書を物理的に所有できるチャンスに飛びついた。
全文はURL先で
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171122-00010001-nknatiogeo-sctch
この死海文書らしき断片は、聖書博物館のコレクション13点のうちの1つで、創世記の一節が含まれている。現在偽造が疑われているものではない。本物の死海文書と同様に、文字列はおおむね平行に並んでおり、筆跡は熟練した筆記者の手によるものであることを示している。
