http://yomiuri.co.jp/science/20171121-OYT1T50071.html
山形大の遠藤昌敏准教授(分析化学)の研究室と、山形県内の自動車ディーラーでつくる解体会社「県自動車販売店リサイクルセンター」(山形市)は、家庭用の電子レンジを使って、自動車の排ガスを浄化する「自動車用触媒」からプラチナを取り出す方法を開発した。
従来の方法と比べ、200分の1の時間で取り出すことができるといい、レアメタル(希少金属)の再利用に向け、「作業の迅速化と低コスト化が期待できる」(遠藤准教授)としている。
自動車用触媒は、マフラー部分の奥にあるセラミック製の部品。格子状の空洞があり、排ガスに含まれるすすや一酸化炭素などの有害物質を、二酸化炭素や窒素などの無害な物質にして、排出する役割を果たしている。
触媒にはプラチナやパラジウムなどのレアメタルも使用されている。乗用車1台当たり、プラチナは平均1グラム含まれており、触媒二つ分で指輪一つ分に相当する量という。
◇
従来は触媒を粉砕したうえ、処理施設に持ち込み、薬品を使って溶かすなどしてプラチナを取り出していた。ただ、粉砕する過程でプラチナ以外の金属が混ざったり、処理施設までの輸送費や処理費などのコストがかかったりすることが課題となっていた。
新しく発見した方法では、触媒を粉砕せず、空洞部分に塩酸と硝酸を混ぜた液体を流し入れる。更にプラチナを溶かしやすくするために「アルゴン」と呼ばれるガスを加え、家庭用の電子レンジで加熱したところ、プラチナが溶けだすことを確認。更に別の薬品を加えて電子レンジに再びかけることで、粉末としてプラチナを取り出すことができたという。
これまでも、ガラスや石などの鉱物を短時間で溶かすために電子レンジを使う研究は行われていたが、金属は電子レンジにかけると火花が出てしまい、加熱が難しいという難点があった。そこで遠藤准教授らは「プラチナなどのレアメタルは金属粒子がとても小さく、水分と酸があれば火花が出ずに安全に金属を溶かすことができるのではないか」と考え、塩酸と硝酸を混ぜた液体などを加える今回の方法を発案し、実験に成功した。
◇
電子レンジを使ったこの方法では場所を問わずに作業ができるほか、プラチナを溶かす作業時間は従来の3時間から5分に、溶かした金属から粉末のプラチナを取り出す作業は24時間から3分と、全体の作業時間は計27時間から8分と大幅に短縮されるという。
同社によると、2016年に県内で解体された自動車は約3万1000台。今後、国内の市場向けに提供することを念頭に、更に研究を進めていくといい、遠藤栄次郎社長は「希少金属を回収して、再利用を図る研究は持続可能な循環社会をつくることにつながる。共同研究者として技術を前進させていきたい」と話している。
山形大の遠藤昌敏准教授(分析化学)の研究室と、山形県内の自動車ディーラーでつくる解体会社「県自動車販売店リサイクルセンター」(山形市)は、家庭用の電子レンジを使って、自動車の排ガスを浄化する「自動車用触媒」からプラチナを取り出す方法を開発した。
従来の方法と比べ、200分の1の時間で取り出すことができるといい、レアメタル(希少金属)の再利用に向け、「作業の迅速化と低コスト化が期待できる」(遠藤准教授)としている。
自動車用触媒は、マフラー部分の奥にあるセラミック製の部品。格子状の空洞があり、排ガスに含まれるすすや一酸化炭素などの有害物質を、二酸化炭素や窒素などの無害な物質にして、排出する役割を果たしている。
触媒にはプラチナやパラジウムなどのレアメタルも使用されている。乗用車1台当たり、プラチナは平均1グラム含まれており、触媒二つ分で指輪一つ分に相当する量という。
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従来は触媒を粉砕したうえ、処理施設に持ち込み、薬品を使って溶かすなどしてプラチナを取り出していた。ただ、粉砕する過程でプラチナ以外の金属が混ざったり、処理施設までの輸送費や処理費などのコストがかかったりすることが課題となっていた。
新しく発見した方法では、触媒を粉砕せず、空洞部分に塩酸と硝酸を混ぜた液体を流し入れる。更にプラチナを溶かしやすくするために「アルゴン」と呼ばれるガスを加え、家庭用の電子レンジで加熱したところ、プラチナが溶けだすことを確認。更に別の薬品を加えて電子レンジに再びかけることで、粉末としてプラチナを取り出すことができたという。
これまでも、ガラスや石などの鉱物を短時間で溶かすために電子レンジを使う研究は行われていたが、金属は電子レンジにかけると火花が出てしまい、加熱が難しいという難点があった。そこで遠藤准教授らは「プラチナなどのレアメタルは金属粒子がとても小さく、水分と酸があれば火花が出ずに安全に金属を溶かすことができるのではないか」と考え、塩酸と硝酸を混ぜた液体などを加える今回の方法を発案し、実験に成功した。
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電子レンジを使ったこの方法では場所を問わずに作業ができるほか、プラチナを溶かす作業時間は従来の3時間から5分に、溶かした金属から粉末のプラチナを取り出す作業は24時間から3分と、全体の作業時間は計27時間から8分と大幅に短縮されるという。
同社によると、2016年に県内で解体された自動車は約3万1000台。今後、国内の市場向けに提供することを念頭に、更に研究を進めていくといい、遠藤栄次郎社長は「希少金属を回収して、再利用を図る研究は持続可能な循環社会をつくることにつながる。共同研究者として技術を前進させていきたい」と話している。