奈良県立医大(橿原市)で来年4月就任の新学長を決める選考を巡り、学長の任期延長を可能にするなどの制度改正が行われたことに対し、教授ら教員の半数以上が反対の署名を提出したことがわかった。
事態の推移によっては新学長選考に影響が出る可能性もあるという。
同大学人事課などによると、学内外の教授ら8人でつくる学長選考会議(議長=川副浩平・関西医科大特命教授)が9月、制度改正を教職員らに通知した。従来の制度では、教職員らによる無記名の意向投票(学長選挙)が行われ、最多得票の学長候補者を同会議が追認するのが慣例だった。改正により、今回の選考から意向投票を廃止。同会議が選考の参考意見とする記名式の意向調査に替え、同会議が主体的に決定することになった。
任期については、従来は1期4年、再任は1回2年のみで最長でも計6年間だったが、最長で3期12年間に延びた。学長の2年ごとの業績評価や解任に関する規程を新設した。
それに対し、教授ら4人が「大学のあり方に関わる重要な改正なのに、十分な説明がなかった」と反発。制度改正の撤回や修正を求める署名を呼びかけ、助教以上の教員385人のうち、半数を超す199人分の署名を集め、川副議長に7日付で提出した。
呼びかけた教授らは、任期について、「他の公立大と比較して例を見ないほどの長期」と指摘。記名式の意向調査も「自由に意見が表明できなくなる」と懸念している。
次期学長選考は、9日時点で細井裕司・現学長と斎藤能彦教授の2人が学長候補者として推薦されており、今月15日の公開講演会で所信表明。同日中に教職員らの意向調査が行われる。同会議は年内にも、選考結果を任命権者の知事に申し出る。
同大学によると、任期を無制限としている大学も少なくないという。同大学人事課は「制度改正は、教職員の意向投票は学内の意見に偏りがちとなり、適切ではないとする国の指針に従った。意向調査は個人が特定されない方法を取り入れるので、ご理解いただきたい」としている。
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