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11月9日 21時39分
「大型水槽で、1200匹以上の魚が死んだ!」ーーーわが家にとっても衝撃のニュースが飛び込んできました。東京・池袋の「サンシャイン水族館」での魚の大量死。年間パスポートを買って子どもを連れて何度も行っている私。大きな水槽でのんびり泳いでいたエイの顔、鮮やかな色をした小さな魚たちを思い出し、悲しい気持ちになりました。いったい何があったのか、同僚と調べてみると、”水族館大国ニッポン”の姿が見えてきました。(ネットワーク報道部記者 宮脇麻樹/佐藤滋/玉木香代子 首都圏放送センター記者 小倉真依)
病気の魚治療がきっかけ
今回の魚の大量死、寄生虫が原因で白い斑点ができる「白点病」という病気が魚の間で広がったのがきっかけとなりました。
白点病は珍しい病気ではありませんが、寄生虫によってエラが炎症し魚が呼吸困難になり、処置が遅れれば死に至ることもあります。このため水族館では、今月7日に治療のための薬を水槽に入れ、細かい空気の泡に魚のフンなどを吸着させて取り除く装置を止めました。装置が薬も吸着してしまうため、止めることによって治療効果を高めようとしたのです。
イベントも中止へ
ところが翌朝、警備員が異変に気付きます。大型水槽で飼育している魚の多くが死んでいて、その数はトビエイやタカサゴなど24種、1235匹。全体の9割以上にのぼりました。
水族館は、酸素を送り込む装置は正常に作動していたものの、止めた装置が補助的に酸素を送り込む機能も果たしていたことから、酸素の濃度が想定以上に減ってしまい、魚が死んだ原因となった可能性があると見ています。
生き残ったのは26種類、73匹の魚だけ。サンタクロースの姿をしたダイバーが水槽に潜る恒例のイベントも中止となりました。このままでは死ぬ危険がある魚を救おうとしたものの、逆の事態を招いてしまった水族館。
「今回の事態は全く想定していなかったのでショックが大きい。酸素を供給する装置を増やしたりして再発を防ぎたい。一日も早くたくさんの魚を見て楽しんでもらえるようにしたい」と飼育員の山本昭さんは話していました。
病気が広がった水槽は幅およそ12メートルある大型のもの。「サンシャインラグーン」と呼ばれ、大きい魚や小さい魚、さまざまな種類のものを1度に見ることができ、水槽にダイバーが潜って餌を与え魚を紹介するパフォーマンスも人気でした。
魚の大量死 過去にも
水族館で魚などが大量に死ぬケースはこれまでも起きています。ことし9月には、「横浜・八景島シーパラダイス」が、展示をしていない水槽で飼育していた「シンカイハクトウギンチャク」などの深海生物94匹が、冷却設備が故障し水温が上昇したことなどですべて死んだと発表しました。
東京・江戸川区の葛西臨海水族園では、クロマグロなどの回遊魚を多いときで190匹飼育していましたが、3年前の11月から相次いで死に、翌年の3月には1匹が残るだけとなりました。水中に溶け込んだ空気の濃度が異常に高くなり、血管に気泡ができる「ガス病」の疑いがあるほか、産卵行動に伴うストレスなど複合的な要因が重なったという報告書が出されました。
“さんご礁から流氷まで” 水族館大国 日本
実は専門家の中で、日本は水族館大国とも呼ばれています。JAZA=日本動物園水族館協会に加盟しているだけでも全国に62の水族館があり、昨年度に3604万人が水族館を訪れています。
東海大学の海洋科学博物館の元館長で、水族館の研究を続けてきた西源二郎さんは、正確なデータはないが日本全国で100前後の水族館があり世界でも特に多いと言います。
「日本は南北に長いため、同じ国の中でさんご礁と流氷が見られる。海や魚が常に身近な環境があるんです」
一方、それだけ、ほかの水族館より魅力ある施設にしようと、それぞれの水族館が大がかりな展示など新たなサービスを競い合い、運営や管理の負担が増している可能性があると指摘しています。
そのうえで「新たな挑戦を行う姿勢は水族館にとって非常に大切なことだ。ただ海や魚など水の中のことについては、いまだに未知の部分が多い。新たな取り組みにはリスクが伴うこともある」と話していました。
(リンク先に続きあり)
11月9日 21時39分
「大型水槽で、1200匹以上の魚が死んだ!」ーーーわが家にとっても衝撃のニュースが飛び込んできました。東京・池袋の「サンシャイン水族館」での魚の大量死。年間パスポートを買って子どもを連れて何度も行っている私。大きな水槽でのんびり泳いでいたエイの顔、鮮やかな色をした小さな魚たちを思い出し、悲しい気持ちになりました。いったい何があったのか、同僚と調べてみると、”水族館大国ニッポン”の姿が見えてきました。(ネットワーク報道部記者 宮脇麻樹/佐藤滋/玉木香代子 首都圏放送センター記者 小倉真依)
病気の魚治療がきっかけ
今回の魚の大量死、寄生虫が原因で白い斑点ができる「白点病」という病気が魚の間で広がったのがきっかけとなりました。
白点病は珍しい病気ではありませんが、寄生虫によってエラが炎症し魚が呼吸困難になり、処置が遅れれば死に至ることもあります。このため水族館では、今月7日に治療のための薬を水槽に入れ、細かい空気の泡に魚のフンなどを吸着させて取り除く装置を止めました。装置が薬も吸着してしまうため、止めることによって治療効果を高めようとしたのです。
イベントも中止へ
ところが翌朝、警備員が異変に気付きます。大型水槽で飼育している魚の多くが死んでいて、その数はトビエイやタカサゴなど24種、1235匹。全体の9割以上にのぼりました。
水族館は、酸素を送り込む装置は正常に作動していたものの、止めた装置が補助的に酸素を送り込む機能も果たしていたことから、酸素の濃度が想定以上に減ってしまい、魚が死んだ原因となった可能性があると見ています。
生き残ったのは26種類、73匹の魚だけ。サンタクロースの姿をしたダイバーが水槽に潜る恒例のイベントも中止となりました。このままでは死ぬ危険がある魚を救おうとしたものの、逆の事態を招いてしまった水族館。
「今回の事態は全く想定していなかったのでショックが大きい。酸素を供給する装置を増やしたりして再発を防ぎたい。一日も早くたくさんの魚を見て楽しんでもらえるようにしたい」と飼育員の山本昭さんは話していました。
病気が広がった水槽は幅およそ12メートルある大型のもの。「サンシャインラグーン」と呼ばれ、大きい魚や小さい魚、さまざまな種類のものを1度に見ることができ、水槽にダイバーが潜って餌を与え魚を紹介するパフォーマンスも人気でした。
魚の大量死 過去にも
水族館で魚などが大量に死ぬケースはこれまでも起きています。ことし9月には、「横浜・八景島シーパラダイス」が、展示をしていない水槽で飼育していた「シンカイハクトウギンチャク」などの深海生物94匹が、冷却設備が故障し水温が上昇したことなどですべて死んだと発表しました。
東京・江戸川区の葛西臨海水族園では、クロマグロなどの回遊魚を多いときで190匹飼育していましたが、3年前の11月から相次いで死に、翌年の3月には1匹が残るだけとなりました。水中に溶け込んだ空気の濃度が異常に高くなり、血管に気泡ができる「ガス病」の疑いがあるほか、産卵行動に伴うストレスなど複合的な要因が重なったという報告書が出されました。
“さんご礁から流氷まで” 水族館大国 日本
実は専門家の中で、日本は水族館大国とも呼ばれています。JAZA=日本動物園水族館協会に加盟しているだけでも全国に62の水族館があり、昨年度に3604万人が水族館を訪れています。
東海大学の海洋科学博物館の元館長で、水族館の研究を続けてきた西源二郎さんは、正確なデータはないが日本全国で100前後の水族館があり世界でも特に多いと言います。
「日本は南北に長いため、同じ国の中でさんご礁と流氷が見られる。海や魚が常に身近な環境があるんです」
一方、それだけ、ほかの水族館より魅力ある施設にしようと、それぞれの水族館が大がかりな展示など新たなサービスを競い合い、運営や管理の負担が増している可能性があると指摘しています。
そのうえで「新たな挑戦を行う姿勢は水族館にとって非常に大切なことだ。ただ海や魚など水の中のことについては、いまだに未知の部分が多い。新たな取り組みにはリスクが伴うこともある」と話していました。
(リンク先に続きあり)