11月6日 3時00分
「パナマ文書」報道を手がけた「ICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合」が租税回避地=タックスヘイブンに関する新たな文書を入手しました。「パラダイスペーパー」と名付けた文書の分析で、アメリカのロス商務長官が実質的に出資する海運会社が、ロシアのプーチン大統領の親族らが役員を務める企業との取り引きで巨額の収入を得ていることがわかりました。トランプ政権がいわゆる「ロシア疑惑」に揺れる中、重要閣僚に対して、プーチン大統領に近いロシア企業から得られた利益の一部が流れる構図が浮かび上がりました。
新たな文書は、北大西洋の島イギリス領バミューダにある法律事務所などから流出したタックスヘイブンに関する膨大な量の電子ファイルで、ICIJは「税の楽園」になぞらえて「パラダイスペーパー」と名付けました。
ドイツの南ドイツ新聞が入手し、ICIJと連携するNHKを含む世界67か国の96の報道機関がおよそ1年をかけてそれぞれの国での分析を進めてきました。
このうちアメリカでの分析で、トランプ政権の重要閣僚、ウィルバー・ロス商務長官が出資するケイマン諸島の複数のファンドが、イギリスを拠点とする海運会社「ナビゲーターホールディングス」の株を30%余り保有していることがわかりました。
この海運会社は、プーチン大統領の娘婿やロシアによるクリミア併合をめぐってアメリカ政府が経済制裁の対象としている実業家らが、実質的に支配するロシアの石油化学会社「シブール」から輸送業務を請け負い、2014年からの3年間で、6800万ドル、日本円にしておよそ77億円の収入を得ていました。
この結果、プーチン大統領に近いロシア企業との取引で得られた利益の一部がロス長官側に流れる構図になっていました。ロス長官は就任する際、国益に反する行為はしないと宣言していますが、この投資の詳細については明らかにしていませんでした。
アメリカで、去年の大統領選挙にロシアが干渉したとされるいわゆる「ロシア疑惑」の捜査が進む中、トランプ政権の重要閣僚とプーチン大統領に直結する人物らのビジネス上のつながりが明らかになったのは初めてです。
ロス長官の広報担当者はICIJの取材に対し、「ロシアの会社自体は経済制裁の対象ではないし、ロス長官が管理する投資ファンドが海運会社の株の過半数を所有したこともない。ロス長官はプーチン大統領の娘婿や実業家らに会ったことは一度もない。アメリカ政府による経済制裁を支持している」などとコメントしています。
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11月6日 3時00分
![【ロシア疑惑】ロス米商務長官に新たな「ロシア疑惑」 国際調査報道 エリザベス女王や鳩山元首相も出資の投資案件 ->画像>3枚](http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171106/K10011211781_1711052331_1711052333_01_02.jpg)
![【ロシア疑惑】ロス米商務長官に新たな「ロシア疑惑」 国際調査報道 エリザベス女王や鳩山元首相も出資の投資案件 ->画像>3枚](http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171106/K10011211781_1711052332_1711060000_01_06.jpg)