【ブリュッセル八田浩輔】スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立問題で、スペイン司法当局の出廷要請に応じなかったプチデモン前州首相ら5人の元幹部に対し、スペインの裁判所が3日にも、欧州連合(EU)共通の「欧州逮捕状」を発行する見通しとなった。スペイン検察筋の話として、AFP通信などが伝えた。
またスペイン当局は2日、国家に対する反逆容疑などで尋問した前州副首相ら9人を逃亡の恐れがあるとして拘束した。独立賛成が圧倒的多数となった10月1日の住民投票を受けた州幹部の身柄拘束は初めて。中央政府による独立派の強制的な一掃が進んでいる。
カタルーニャの州都バルセロナのコラウ市長はツイッターに「カタルーニャにとって暗黒の日だ」と投稿。プチデモン氏も釈放を求める声明を発表した。
スペイン当局は今後、プチデモン氏らが滞在しているベルギーの司法当局に身柄の拘束と移送について協力を求める。欧州逮捕状はEU加盟国間の刑事司法協力を簡素化するためのものだが、執行にはベルギー国内での司法手続きも必要になる。ベルギー政府はこれまで、プチデモン氏らの滞在を「欧州市民の移動の自由」を理由に黙認していた。
プチデモン氏の弁護士は2日、ベルギー公共放送VRTに対し、司法手続きに協力する意向は示したものの、ベルギーの裁判所がスペインへの身柄引き渡しを認めれば、不服を申し立てると主張。その場合は、最終的な決定まで1カ月半から2カ月を要するとの見通しを語った。
一方、スペイン当局は拘束した9人のうち、独立宣言に反対した1人にのみ5万ユーロの支払いを条件に保釈を認めた。
スペイン中央政府は、カタルーニャ州の自治権停止措置の一環として12月21日に州議会選挙を実施する意向を表明。プチデモン氏らは選挙結果を尊重する考えを示している。
配信2017年11月3日 20時34分(最終更新 11月3日 22時30分)
毎日新聞
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