「日本が標的」偽造カード密輸事件、全国で相次ぐ 背後に国際的な犯罪組織?
10/27(金) 10:15配信
偽造したクレジットカード数十枚を密輸しようとしたとして、福岡県警が関税法違反の疑いで
マレーシア人の男数人を逮捕したことが26日、捜査関係者への取材で分かった。
偽造カードの密輸事件は今年に入り全国で相次いで発覚しており、
県警は背後に国際的な犯罪組織が介在しているとみて捜査を進めている。
捜査関係者によると、男らは今月上旬、偽造カード数十枚を隠し、マレーシアの空港から福岡空港に
密輸しようとした疑いがある。税関検査の際、職員が手荷物を調べ、大量の偽造カードを見つけた。
男らは容疑を認め「インターネットで知り合った男と連絡を取り、マレーシアの空港で偽造カードを受け取った」と説明。
「日本でブランド品や高級化粧品を買い、持ち帰って報酬をもらう約束だった」と供述しているという。
容疑者らが持ち込んだ偽造カードには本人たちの名前があるが、金が引き落とされる口座は第三者のものという。
決済する店側がパスポートなどで身元を確認しても、偽造カードと見抜くのは困難という。
大阪府警などは今年2月、関西国際空港で偽造カード128枚を持っていたマレーシア人の男ら計10人を逮捕。
福岡県警も今月2日、偽造カード56枚を密輸しようとしたマレーシア人2人を逮捕した。
同日、偽造カードで腕時計を購入しようとしたマレーシア人の男2人も詐欺未遂容疑などで逮捕している。
県警は、偽造カードで購入した商品を転売してもうけようと、
同じ犯罪組織が実行犯役のマレーシア人を日本に送り込んでいるとみている。
■磁気読み取り式多い日本標的 商品転売?組織的犯行か
相次ぐ偽造クレジットカードの密輸事件に関し、日本クレジット協会(東京)は「偽造が簡単な日本の
カードが標的にされている」と指摘しており、関係者は新たな密輸ビジネスへの警戒感を強めている。
同協会によると、クレジットカードの決済方法は「磁気式」と「IC式」の2種類。
磁気式は、カードの磁気部分から口座などの個人情報を読み取るシステムで、特殊な機械を用いれば
「情報を盗み出す『スキミング』も簡単」(捜査関係者)という。
IC式は、チップにカード情報を暗号化して記録し、百貨店など加盟店の専用読み取り機で決済する。
磁気式に比べ「情報が盗まれにくく、偽造を防げる」と同協会は説明する。
欧州の多くの国ではIC式を義務付けており、日本でも、経済産業省は2020年までに「IC式決済の100%」
を目指すとしている。ただ、14年の調査では、磁気式決済が83%を占め、IC式は十数%。
犯罪組織はこの状況に目を付け、国内に磁気式の偽造カードを持ち込み、商品を購入しているとみられる。
同協会は「日本で使われているカードの75%にもICチップは付いているが、読み取り機を持っていない店が多い」と説明。
「IC式の導入が遅れれば、被害が日本に集中する恐れがある」と強調し、早急な対策の必要性を訴えている。
同協会によると、今年1〜6月のクレジットカードの不正使用被害は約118億2千万円。
このうち偽造カードによる被害は約20億2千万円で、昨年同期より約3億9千万円増えている。
10/27(金) 10:15配信 西日本新聞
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