http://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKCN1B80HI
[HUANGCHUAN VILLAGE(中国) 25日 ロイター] - 中国北西部に暮らすQu Yexiuさんは昼食後、家事や2歳になる孫息子の世話をしながら、自宅で過ごすのが日課だった。
だが陝西省Huangchuan村に新しく幼児教育センターができてからはそこに通うようになり、孫息子は他の幼児たちと遊んでいる。
「村にセンターができて、状況は良くなっている」と孫2人の面倒を見ている56歳のQuさんは言う。孫の親たちは安徽省で働いている。同センターに通う孫息子のほか、もう1人の孫は幼稚園に通っているという。
「孫息子は他の子どもたちと遊べるし、私は他の祖父母とおしゃべりすることができる」
このような幼児教育センターは、地方の学校で退学する子どもの数を減少させるという、中国最大の課題の1つに対する答えとなるかもしれない。
人口の約半分が暮らす地方に住む子どもたちは、都市部の子どもたちと比べて、認知能力とソーシャルスキルがはるかに劣っており、自分の名前が言えるようになる前から退学する道へと向かっている。
過去の世代においては、農家に生まれ育った人や工場で働く人にとって、低学歴はそれほど問題ではなかったが、現在では広範囲に及ぶ影響をもたらしかねない。
中国政府は自国をバリューチェーン(価値連鎖)の上層へと押し上げたいと考えており、世界第2位の経済大国が高い付加価値をもつ経済へと移行したいのであれば、より高度な技術を備えた労働力が必要となってくる。
「これは中国が直面する最大の問題だが、誰もよく分かっていない。目に見えない問題だ」と語るのは、中国の大学と協力して、同国地方の貧困と教育などを研究する米スタンフォード大学の機関「Rural Education Action Program(REAP)」のスコット・ロゼル氏だ。
「中国の人的資源は(世界の中所得国のなかで)最低レベルにある。南アフリカやトルコよりも低い。その原因が乳幼児期に十分発達しなかったことと関係していると、われわれは考えている」
中国の国家衛生・計画生育委員会は、地方の乳幼児に早期教育の機会を提供すべく、ロゼル氏のような経済専門家と協力している。
アジア開発銀行が共同執筆し、学術誌「チャイナ・クォータリー」で昨年発表された論文によると、2010年に実施された最新の国勢調査に基づくと、中国の労働人口の76%は高校に行っていなかった。
地方と都市部の格差も大きい。2010年に地方の労働人口で高校に通ったことがあるのはわずか8%だったのに対し、都市部では37%だった。また、中国統計局によると、2017年上半期の1人当たりの可処分所得は、地方が6562元(約11万円)だったのに対し、都市部では1万8322元(約30万円)だった。
(リンク先に続きあり)
(Sue-Lin Wong記者 翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
2017年 8月 28日 3:48 PM JST