トヨタ、カーシェア「つながる車」で ハワイの販売店で実験
2017/8/17 19:56
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HOB_X10C17A8TJ2000/
トヨタ自動車が消費者が車を共同利用するカーシェアリングの実用化を進める。17日、専用アプリを開発し、年内にも米国のハワイの販売代理店と共同で実証実験を始めると発表した。カーシェアや配車アプリの普及で車の価値は消費者にとって「所有から利用」へシフトしつつある。車の使い方の変化を見据え、新たな収益源を育てるための布石を打つ。
カーシェアは消費者が車両を保有せず、複数の人と交代で利用できるサービス。駐車場や維持管理費用が不要で、レンタカーよりも車に乗る機会が多い消費者の利用が急速に拡大している。
トヨタは販売店がカーシェア事業を展開するためのアプリを開発した。利用者はスマホを通して車の位置を地図上で確認したり、車両の予約やドアの鍵の開閉などができる。販売店側はネットワークを通して車や利用者の状況、決済サービスを管理できる。
実証実験はまずハワイの販売店サーブコと共同で実施する。すでに従業員向けに試験的に始めており、年内にもホノルルで一般の人も対象にする。販売店の顧客や観光客などに利用してもらい課題を検証する。
アプリはIT事業を手がける子会社と米マイクロソフトの合弁会社「トヨタコネクティッドノースアメリカ」が開発した。将来は日本を含めた他の地域でのカーシェア事業の展開も検討する。
トヨタは昨年、カーシェアの米ゲットアラウンドに傘下のファンドを通して出資。1月にはカリフォルニア州で実証実験を共同で始めたが、今回のようにトヨタ単体で車両管理から決済までを一貫して手掛けるのは初となる。
トヨタの友山茂樹専務役員は「トヨタのものづくりの強みと地域に根ざした販売店のオペレーションを組み合わせ、より快適なサービスを提供できる」とコメントした。カーシェアの展開は新車販売に影響を与える懸念もあるが、販売店にとっても新たな収益源になる可能性がある。
トヨタは通信機能を備える「コネクテッドカー(つながる車)」を活用したサービスを新たな収益源に育てる方針。社内に「コネクティッドカンパニー」を設立し、日米で販売するほぼ全ての乗用車に通信機能を搭載していく計画だ。
IT(情報技術)を活用するカーシェアや一般人が別の消費者を乗せるライドシェアなどを研究し、国内外で電気自動車を使ったカーシェアの実証も実施。海外ではライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズとも提携した。
自動車大手がコネクテッドカーの技術を使った新サービスを手がける動きは世界で広がる。米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)も配車アプリ企業に出資。新事業の展開が将来の収益力を左右する可能性もある。