7/26(水) 14:00配信
◇県大会へ気合
九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市の市立杷木(はき)中学校の水泳部に、流失した水着の代わりにと福岡市の高校生から支援の水着が届いた。練習を再開した部員らは徐々に笑顔が戻り始めている。27日から福岡市である県大会も控えており「今度はこっちが頑張る番だ」と部員らは気合十分だ。【蓬田正志、比嘉洋】
強い日差しが照りつけた25日昼、158人が避難生活を送る杷木中のプールで、日焼けした部員16人の笑顔がはじけた。練習で1時間泳ぎ続けた後もプールでじゃれ合う部員たちに、国語教諭で顧問の日野祥喜(よしき)さん(54)が「まだ遊ぶかー」と声を掛けた。2年の林紗季さん(14)が「遊ぶー」と白い歯を見せる。「ようやく取り戻した笑顔だから、こっちもずっと見ていたくなるんです」と日野さんは目を細めた。
突然の豪雨が襲った5日、林さんは高台の祖父母宅に避難した。窓から外を見下ろすと増水した川が間近に迫り、車や民家が流されていた。翌日自宅に戻ると、流木が壁を突き破り、教科書も制服も泥まみれ。6月の誕生日に母がくれた試合用水着も流失していた。
県大会の出場権をかけた筑後地区大会は15日に迫っていたが、避難所になった学校は臨時休校になり、泳げない日が続いた。そんな中、部員の保護者がフェイスブックで窮状を訴えると、それを知った福岡市の高校生から8着の水着が贈られてきた。11日に1週間ぶりに練習が再開されると、部員たちはその水着でプールに飛び込んだ。林さんは自宅の片付けを手伝いに来たボランティアにも「試合頑張ってね」と声を掛けられた。
奮発した部員たちは地区大会のリレー種目で男女ともに6位入賞を果たし、県大会の出場権を得た。自宅が流された1年、小嶋勇佑さん(13)は「夢中で泳いだらつらいことも忘れられた」と地区大会を振り返る。
断水で新しい水が供給できないため、プールの水位は下がり続けている。いつまで泳げるのか。自宅にはいつ戻れるのか。不安はつきまとうが、林さんは自らを励ますように笑顔を向けた。「県大会では最後の方の順位かもしれないが、自己ベストを出せるように頑張って被災した人たちを元気にしたい」
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