http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170721/k10011067101000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_006
愛媛県にある伊方原子力発電所3号機の運転を停止するよう県内の住民が求めた仮処分の申し立てについて、松山地方裁判所は21日に判断を示します。仮処分の決定はすぐに効力が生じることがあり、裁判所がどのような判断を示すのか注目されます。
愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機について、県内の住民11人は去年5月、「大地震などで重大な事故が起きるおそれがある」として、運転の停止を求める仮処分を松山地方裁判所に申し立てました。
伊方原発の周辺には複数の活断層があり、四国電力は九州、四国、近畿にかけて延びる断層が長さおよそ480キロにわたって連動した場合などを想定して、原発での最大の揺れを算定しました。
これについて、住民側は「連動した場合などの地震の揺れが過小評価されている」と主張し、四国電力は「地震の不確かな要素を考慮しながら、揺れの大きさを算定し、原発の安全性は確保されている」などと反論しました。
伊方原発3号機は原子力規制委員会の新しい規制基準の下で、去年8月に再稼働していて、松山地方裁判所は21日に申し立ての判断を示します。
仮処分の決定はすぐに効力が生じることがあり、裁判所がどのような判断を示すのか注目されます。
伊方原発3号機をめぐっては、広島地方裁判所がことし3月、運転を停止するよう求めた別の住民の仮処分の申し立てを退ける決定を出しています。
主な争点
伊方原発3号機の運転停止を求める仮処分の申し立ては、主に3つの点が争われました。
最大の争点は原発で想定される最大規模の地震の揺れ、「基準地震動」が妥当かどうかです。
原発の新しい規制基準では重要な設備や機器が基準地震動に耐えられるよう設計することが求められています。
四国電力は、原発の北側およそ8キロにある、四国から近畿にかけて延びる「中央構造線断層帯」と九州の「別府ー万年山断層帯」の合わせて長さ480キロの断層が連動した場合も想定して、最大の揺れを算定しました。
その結果、「中央構造線断層帯」のうち、原発の近くに延びる長さ69キロの区間がずれ動いた場合に最も大きな揺れになるとして、基準地震動を650ガルと算定し、原子力規制委員会も了承しました。
これについて住民側は「断層が480キロにわたって連動した場合の揺れが小さく評価されている」と主張したのに対し、四国電力は「地震の不確かな要素も考慮しながら揺れを算定し、断層が480キロ連動した場合でも、原発の安全性は損なわれない」と反論しました。
2つ目の争点は想定される津波の大きさです。
四国電力は、マグニチュード9クラスの南海トラフの巨大地震も含めて、さまざまな地震を検討した結果、「中央構造線断層帯」と「別府ー万年山断層帯」のうち、海域にある長さ130キロの区間が連動して動くなどした場合に、最も大きな津波が原発に到達すると判断しました。
最大の津波の高さを8.1メートルと予想し、原発の重要な施設が海面から10メートルの高さに位置していることから、原発の安全性に影響はないとしています。
これについて住民側は「地震の規模が小さく評価され、想定を超える津波が到達するおそれがある」と主張したのに対し、四国電力は「マグニチュード9クラスの南海トラフの巨大地震も含めて検討していて、想定を超える津波が到達するとは考えられない」と反論しました。
3つ目は火山噴火のリスクについてです。
伊方原発から半径160キロ以内には大分県の九重山や熊本県の阿蘇山などがあり、四国電力は九重山が噴火した場合に降る火山灰などの厚さを最大15センチと想定し、火山活動が影響を及ぼす可能性は低いとしています。
これについて、住民側は「火山灰などの濃度が低く評価されていて、原発の冷却機能を維持する非常用発電機に火山灰が詰まり、冷却できなくなるおそれがある」と主張したのに対し、四国電力は「火山灰などの量を適正に見積もり、冷却機能が失われる可能性は低い。原発の運用期間中に周辺で巨大噴火が起きる可能性は十分に低い」などと反論していました。
7月21日 4時21分
愛媛県にある伊方原子力発電所3号機の運転を停止するよう県内の住民が求めた仮処分の申し立てについて、松山地方裁判所は21日に判断を示します。仮処分の決定はすぐに効力が生じることがあり、裁判所がどのような判断を示すのか注目されます。
愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機について、県内の住民11人は去年5月、「大地震などで重大な事故が起きるおそれがある」として、運転の停止を求める仮処分を松山地方裁判所に申し立てました。
伊方原発の周辺には複数の活断層があり、四国電力は九州、四国、近畿にかけて延びる断層が長さおよそ480キロにわたって連動した場合などを想定して、原発での最大の揺れを算定しました。
これについて、住民側は「連動した場合などの地震の揺れが過小評価されている」と主張し、四国電力は「地震の不確かな要素を考慮しながら、揺れの大きさを算定し、原発の安全性は確保されている」などと反論しました。
伊方原発3号機は原子力規制委員会の新しい規制基準の下で、去年8月に再稼働していて、松山地方裁判所は21日に申し立ての判断を示します。
仮処分の決定はすぐに効力が生じることがあり、裁判所がどのような判断を示すのか注目されます。
伊方原発3号機をめぐっては、広島地方裁判所がことし3月、運転を停止するよう求めた別の住民の仮処分の申し立てを退ける決定を出しています。
主な争点
伊方原発3号機の運転停止を求める仮処分の申し立ては、主に3つの点が争われました。
最大の争点は原発で想定される最大規模の地震の揺れ、「基準地震動」が妥当かどうかです。
原発の新しい規制基準では重要な設備や機器が基準地震動に耐えられるよう設計することが求められています。
四国電力は、原発の北側およそ8キロにある、四国から近畿にかけて延びる「中央構造線断層帯」と九州の「別府ー万年山断層帯」の合わせて長さ480キロの断層が連動した場合も想定して、最大の揺れを算定しました。
その結果、「中央構造線断層帯」のうち、原発の近くに延びる長さ69キロの区間がずれ動いた場合に最も大きな揺れになるとして、基準地震動を650ガルと算定し、原子力規制委員会も了承しました。
これについて住民側は「断層が480キロにわたって連動した場合の揺れが小さく評価されている」と主張したのに対し、四国電力は「地震の不確かな要素も考慮しながら揺れを算定し、断層が480キロ連動した場合でも、原発の安全性は損なわれない」と反論しました。
2つ目の争点は想定される津波の大きさです。
四国電力は、マグニチュード9クラスの南海トラフの巨大地震も含めて、さまざまな地震を検討した結果、「中央構造線断層帯」と「別府ー万年山断層帯」のうち、海域にある長さ130キロの区間が連動して動くなどした場合に、最も大きな津波が原発に到達すると判断しました。
最大の津波の高さを8.1メートルと予想し、原発の重要な施設が海面から10メートルの高さに位置していることから、原発の安全性に影響はないとしています。
これについて住民側は「地震の規模が小さく評価され、想定を超える津波が到達するおそれがある」と主張したのに対し、四国電力は「マグニチュード9クラスの南海トラフの巨大地震も含めて検討していて、想定を超える津波が到達するとは考えられない」と反論しました。
3つ目は火山噴火のリスクについてです。
伊方原発から半径160キロ以内には大分県の九重山や熊本県の阿蘇山などがあり、四国電力は九重山が噴火した場合に降る火山灰などの厚さを最大15センチと想定し、火山活動が影響を及ぼす可能性は低いとしています。
これについて、住民側は「火山灰などの濃度が低く評価されていて、原発の冷却機能を維持する非常用発電機に火山灰が詰まり、冷却できなくなるおそれがある」と主張したのに対し、四国電力は「火山灰などの量を適正に見積もり、冷却機能が失われる可能性は低い。原発の運用期間中に周辺で巨大噴火が起きる可能性は十分に低い」などと反論していました。
7月21日 4時21分