http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170713/k10011057491000.html
トランプ大統領がフランス訪問 マクロン大統領と会談へ
7月13日 19時56分
アメリカのトランプ大統領がフランスを訪れ、日本時間の13日夜、マクロン大統領と首脳会談を行うことにしており、トランプ大統領が、地球温暖化対策の国際的な枠組みの「パリ協定」から脱退する方針を明らかにする中、立場の違いが鮮明になった両首脳が、テロ対策などの分野で歩み寄ることができるのかが焦点となります。
トランプ大統領のフランス訪問は、ことしがアメリカの第1次世界大戦への参戦から100年になるのに合わせて、マクロン大統領がフランスの革命記念日の軍事パレードに招待したものです。
トランプ大統領は、日本時間の13日午後パリに到着し、13日夜遅くからパリの大統領府で、マクロン大統領との首脳会談に臨むことになっています。
両首脳が会談するのは2回目で、トランプ大統領が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から脱退する方針を明らかにし、マクロン大統領がこれに強く反対する中、双方が協力できる分野で歩み寄ることができるのかが焦点となります。
ホワイトハウスの高官は、シリアの内戦への対応やテロ対策をめぐって、集中的な議論が行われるという見通しを示していて、両首脳が関係強化を確認する機会にしたいとしています。
両首脳は会談のあと、エッフェル塔にある高級レストランで夫人を交えて夕食を共にする予定で、トランプ大統領がドイツのメルケル首相との関係がぎくしゃくする中、マクロン大統領と個人的な信頼関係を築くことができるかも注目されます。
アメリカの識者「関係強固のシグナル」
トランプ大統領のフランス訪問について、アメリカの保守系のシンクタンク、「ハドソン研究所」のベンジャミン・ハダド研究員は、NHKの取材に対し、「革命記念日の軍事パレードにトランプ大統領が出席することは極めて重要だ。地球温暖化対策をめぐる立場の違いがあるものの、アメリカとフランスの関係が強固だという強いシグナルを送ることになる」と話し、その意義を強調しました。
そして、「アメリカとフランスの間には多くの共通利益がある。フランスはアメリカの最も古い同盟国だ」と述べたうえで、首脳会談では内戦の続くシリアへの対応や、中東アフリカ地域でのテロへ対策などで、協力を確認できるのかどうかが焦点になるとしています。
さらに、ハダド氏は「2人の大統領はともに、ビジネスマン出身で実務的だ。両国の関係も一段と実務的なものになるだろう」と述べ、温暖化対策をめぐる立場の違いが両国の関係全般にマイナスの影響を及ぼすことはなく、双方の利益となる分野では協力が進む可能性があるという見方を示しました。
フランスの識者「マクロン大統領は是々非々で臨む」
マクロン大統領がトランプ大統領をパリに招待した狙いについて、フランス国際関係戦略研究所のパスカル・ボニファス所長はNHKの取材に対し、「たとえアメリカの大統領に賛同していなくても、親交を重ね、共通の合意を見いだそうとしている姿勢を、アメリカ国民だけでなく、世界にアピールする場にする狙いがある」と話しています。
そのうえで、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退を表明したトランプ大統領を、マクロン大統領が説得して考えを変えさせるのは極めて難しいとしながらも、シリアの内戦やウクライナ情勢への対応、テロ対策などでは双方の意見が一致し協力を進めることになるという見通しを示しました。
一方で、「フランスは歴史上、アメリカと同盟関係にあってもアメリカの政策に常に同調してきたわけではない。マクロン大統領もトランプ大統領に服従するのではなく、フランス独自の道をとるだろう」と述べ、マクロン大統領がトランプ大統領に対して是々非々の姿勢で臨み、アメリカに追従しないフランスの独自の外交路線を継承していくという見方を示しました。