牧草や稲などを食い荒らす害虫「アワヨトウ」の幼虫が、6月下旬から鳥取県中部を中心に大量発生している。
特に飼料用のトウモロコシ畑などの被害は深刻で、農家が駆除に追われている。県は、防除剤購入費の一部補助など農家への緊急支援を決めた。
アワヨトウはガの一種で、中国大陸から気流に乗って飛来するとされる。幼虫は体長3〜4センチで、初夏から秋にかけて見られ、トウモロコシなどイネ科の植物を好んで食べるという。
県内では6月下旬に被害の報告があり、これまでに倉吉市や琴浦、北栄、大山各町、鳥取市の湖山池周辺で確認されている。
被害面積は、トウモロコシ111ヘクタール、牧草151ヘクタールに及び、県内の飼料栽培面積の約2割に上る。県畜産課は「例年より少雨・高温の日が続き、繁殖しやすい環境だった」とみている。
県内の酪農家が加盟する大山乳業農業協同組合(琴浦町)では4日現在、組合員約130戸のうち35戸ほどが被害に遭った。小前孝夫組合長が琴浦町内に所有する15か所の畑でも、トウモロコシの葉が食い荒らされた。
周囲の農家に被害が広がるのを防ぐため、収穫を諦めて駆除剤を散布したといい、「植え替えるには費用がかかり、一苦労だ」と頭を抱える。
東伯農業改良普及所でも6月下旬から琴浦町内で被害の連絡が入り、職員が畑の見回りや防除作業に追われた。
一通りの作業を終えたが、同普及所の浅見浩行次長は「駆除しきれなかった幼虫が羽化し、また卵を産み付けるかもしれない。警戒を続ける必要がある」と話す。
深刻な被害を受け、県は農家に対し、アワヨトウの発生を抑える薬剤や、被害にあった作物を植え替える際に必要な種の購入費用の一部を負担することを決めた。
今年度一般会計予算の予備費から支出する方針で、来週中にも受け付けを始める。(古賀愛子)
葉に群がるアワヨトウの幼虫
配信 2017年07月08日 17時29分
YOMIURI ONLINE
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