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妊娠中にがんが見つかった場合、妊婦とおなかの中の赤ちゃんをどう救うのか、全国の医師や看護師が参加して妊娠中のがん治療をめぐる課題を話し合うシンポジウムが東京で開かれました。
シンポジウムは日本対がん協会などが開き、全国から医師や看護師など130人が参加しました。
妊娠中にがんになるのは1000人に1人程度とされていますが、高齢出産の増加でその数は世界的に増えていると言われています。シンポジウムではがんが見つかっても、妊娠の時期などによっては、抗がん剤による治療や手術が可能で、出産もできることが報告される一方、治療方法を医師が十分に知らないため、人工中絶を勧めたり、治療を産後に先延ばしして、がんが悪化したりすることもある現状が説明されました。
また、パネルディスカッションも行われ、がんの専門医や産婦人科医が実際に妊娠中に乳がんや子宮がんなどが見つかった患者の治療経験を紹介し、参加者と意見交換をしていました。
シンポジウムを主催した聖路加国際大学の北野敦子医師は「さまざまな医療機関が連携して、妊娠中にがんになっても安心して妊娠が継続でき、治療もできる環境を一刻も早く整えていきたい」と話しました。
治療が先延ばしになった女性は
神奈川県に住む3歳と1歳の女の子を育てる30代の女性は、2年前、長女の授乳中、右胸にしこりがあることに気付きました。かかりつけの病院で看護師に相談しましたが「大丈夫」と言われ、その後、次女の妊娠がわかり、改めて相談した時も看護師から「妊娠で乳腺が発達したもの」と言われたといいます。
女性は里帰り出産で訪れた総合病院でも相談しましたが、医師は「様子を見ましょう」と言っただけだったといいます。
初めてがんに関わる検査をしたのは出産の直前でした。次女を出産した3日後、喜びの中にいた女性は医師に呼ばれ、乳がんだと伝えられたのです。
気になっていたそのしこりががんでした。女性は「がんと言われ時が止まったように感じた。赤ちゃんと一緒にがんを育ていたなんて・・」と当時を振り返りました。
その後の検査で乳がんは8センチになっていて、肝臓や肺に転移していることもわかりました。
現在も抗がん剤治療が続いています。
女性は「長女と同じように次女を祝福の中で迎えてあげたかったのに授乳もしてあげられませんでした。申し訳ない気持ちが強いです。もっと早く病気に気付き治療をしていたら今のような状況になっていなかったのではないかといつもに思っています」と話していました。
5月28日 6時15分